五十肩への鍼|肩関節周囲炎は自然に良くなるのか、鍼で何が変わるのか

五十肩への鍼|肩関節周囲炎は自然に良くなるのか、鍼で何が変わるのか 五十肩

「夜、寝返りのたびに肩が痛くて目が覚めるんです。腕も上がらなくて」

肩こりで長く通っている50代の患者さんが、ある日こう言い出す。触ると、他動でも外転が途中で止まる。

このとき「いつもの肩こりの延長」で施術していませんか。五十肩は、肩こりとは別の病態です。

続けて聞かれます。「これ、鍼灸で良くなりますか?」「自然に良くなるとも聞いたけど」。答えに詰まりますよね。

この記事では、五十肩の鍼についてコクランの結論をまず置き、あとの試験を「何と比べたか」で並べ直します。最後は患者さんへの答え方と、肩まわりに刺すときの安全までつなげます。

結論(先に4つ)
① 偽鍼と比べて五十肩の鍼が勝った、と言える大規模な試験は当サイトが確認した範囲にありません(21名と60名の2本だけ)。2005年のコクランレビューの著者結論は3文で、要旨は「ほとんど何も結論できない/支持する根拠も否定する根拠も乏しいが、短期の利益はあるかもしれない/さらに試験が必要」。検索は2003年で止まっています。
② 無治療と比べた小さな非盲検(受けた処置が本人に分かる)の試験では電気鍼と運動を組み合わせた群が改善し(干渉波と運動の群との差は認められず)、運動と比べた試験では鍼を足した群が改善率で良い結果でした。神経ブロックと比べた試験では、電気鍼だけの群はブロックだけの群に劣っていました。
③ 学会の扱いは「効果不明」(英国2015年)か「推奨項目に無い」(米国2013年・韓国2025年)で、中国の伝統医学の指針(2023年)は鍼を含む推奨を出していますがその大半は弱い推奨か合意です。日本には五十肩の診療ガイドライン自体が見つかりませんでした。
④ では鍼灸院は何をするか。運動との併用を前提に痛みの軽減を目標にすること、肩まわりの刺鍼では気胸の注意がガイドラインの「義務」に当たる語尾(「しなければならない」)で書かれていること、原因の明らかな拘縮肩かどうかの判断は医療機関の役割であること。この3つを、現時点で書ける範囲として整理します。

(急いでいる方へ:患者さんへの答え方だけを見たい場合は「明日から使える」の章へどうぞ)

同じ運動器クラスターでは、肩こりを肩こりに鍼は効くのか|日本の試験でわかったことと限界、首の痛みを首の痛みへの鍼|慢性頸部痛のエビデンスと受診の見極めガイドにまとめています。この記事が扱うのは、肩関節そのものの動きが制限される病態です。

  1. 五十肩と肩こりは、何が違うのか
  2. 五十肩は、放っておけば自然に良くなるのか
    1. 「自然に良くなる」側の資料
    2. 「良くなりきらない人がいる」側の資料
    3. 「様子を見る」は「何もしない」ではない
  3. 五十肩の鍼について、コクランは何と書いているのか
    1. 五十肩の2試験は、向きが逆だった
  4. 偽鍼と比べると、五十肩の鍼はどう見えるのか
    1. 台湾の21名の試験=機能に差は認められず、可動域は本物が良かった
    2. ドイツの60名の試験=円皮鍼の「直後」に小さな差
    3. 「偽鍼に勝った大規模試験は無い」と書く理由
  5. 無治療や運動と比べると、どう見えるのか
    1. 香港の70名の試験=無治療群は4週間「変化なし」
    2. 香港の35名の試験=「鍼を足すと良い」の中身
    3. 系統的レビューはどう言っているか
  6. 注射・神経ブロック・薬と比べると、どう見えるのか
    1. 神経ブロックと比べた試験=電気鍼だけの群は劣っていた
    2. ステロイド注射と直接比べた試験は、PubMed では見つからなかった
    3. 薬などと比べた2025年のネットワーク解析=痛みの尺度では鍼関連療法が勝っていない
  7. 学会は、五十肩の鍼をどう扱っているか
    1. 英国=「効果不明」に分類(2015年)、改訂版では言及なし(2025年)
    2. 米国=推奨項目に鍼は無いが、電気鍼の試験は本文で紹介
    3. 韓国・中国・日本
  8. 日本で行われた五十肩の鍼治療の研究は、どこまであるのか
    1. 1996年の症例集積=「一時的な軽減」と「効かなかった人は脱落」
    2. 「拘縮は鍼だけでは動きにくい」と、日本の鍼灸師自身が書いている
    3. 大学病院の鍼灸外来の実務
  9. 四十肩・五十肩の鍼治療は、何回くらい・どのくらいの期間か
  10. 肩まわりの刺鍼で、気胸をどう避けるか
    1. 学会のガイドラインは「義務」の水準で書いている
    2. 頻度の数字は、どれを使うか
  11. 明日から使える|五十肩の鍼の説明トーク例と、自院サイトの書き方
    1. 自院サイトで五十肩を扱うときの、リスクの低い書き方・避けたい書き方
  12. この記事で書かなかったこと・書けなかったこと
  13. FAQ|五十肩の鍼について、鍼灸師によくある質問
  14. まとめ|五十肩の鍼について、言えること・言えないこと
  15. 関連記事
  16. 参考文献

五十肩と肩こりは、何が違うのか

まず言葉の整理から。ここがずれると、あとの研究の話が全部ずれます。

日本整形外科学会の一般向け解説では、五十肩(肩関節周囲炎)は中年以降、特に50歳代に多く、病態は多彩とされています。

自然に軽快することもある一方、放置すると癒着して動かなくなることもある、とも書かれています。

英語では frozen shoulder/adhesive capsulitis(凍結肩・癒着性関節包炎)です。

日本肩関節学会は2021年、可動域制限があれば「拘縮肩」、そのうち原因不明のものだけを「凍結肩」、原因の明らかなものを「二次性拘縮肩」と呼ぶ提言を出しています。

ここで注意が1つ要ります。

日本語の「肩関節周囲炎」は、腱板炎や上腕二頭筋長頭腱炎なども含む広い総称として使われることがあります。

海外の研究が対象にする adhesive capsulitis は、原因不明の凍結肩に絞られています。この記事の海外の試験の「五十肩」は、その狭いほうです。

肩こりとの違いも押さえてください。

肩こりは筋のこわばりで、関節の可動域は保たれます。五十肩は関節の動きが制限され、夜間痛を伴うことが多い病態です。同じ「肩」でも、別の話として扱ってください。

そして線引きです。

目の前の拘縮肩が原因不明の凍結肩か、腱板断裂・骨折・糖尿病などに伴う二次性かを判断するのは、医療機関の役割です。

鍼灸師は診断を行う立場にありません。整形外科での評価を受けていない場合、前回の評価から時間が経っている場合、経過の中で症状の出方が変わった場合は、受診をおすすめしてください。

エビデンスボックス① 定義・用語・有病率について、当サイトが確認した範囲(深く知りたい方向け・飛ばしてOK)
  • 日本整形外科学会「五十肩(肩関節周囲炎)」(症状・病気をしらべる・https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/frozen_shoulder.html )および「整形外科シリーズ5 五十肩(肩関節周囲炎)」(PDF・2009年12月作成・https://www.joa.or.jp/public/publication/pdf/joa_005.pdf )。当サイトの確認=ページを1回取得、PDFはページ画像を目視(Tier B・1パス)。本文では言い換えで紹介しています。解説の内容=肩関節の周囲の組織に炎症が起きることが主な原因と考えられ、関節を包む袋が癒着するとさらに動きが悪くなる。記載されている治療は、急性期の安静・消炎鎮痛薬・注射、急性期を過ぎたら温熱療法・運動療法、改善しない場合の手術(関節鏡など)です。🛑 鍼灸の記載の有無は、当サイトの取得では確定していません。
  • 浜田純一郎, 高瀬勝巳, 藤井康成, ほか(日本肩関節学会学術委員会). 拘縮肩と凍結肩の定義と適正な学術用語. 肩関節. 2021;45(1):122-126.(DOI 10.11296/katakansetsu.45.122)抄録の逐語(J-STAGE・Tier B)=「可動域制限があれば拘縮肩とし,そのうち原因不明な拘縮肩のみを凍結肩,原因の明らかな拘縮肩を二次性拘縮肩とする」/「原因不明の拘縮肩の診断名は凍結肩31%,拘縮肩22%,肩関節周囲炎16%,五十肩16%と多くの病名が使われていた。」/「凍結肩について,AAOSの定義と分類やISAKOSの提言があり混乱がある。」評釈:学会員の間でも病名がばらついていた実測値です。当サイトが確認したのは抄録までで、本文(ISAKOS の提言の原文など)は未取得です。
  • 山口智. 肩関節周囲炎に対する鍼通電療法. 日本東洋医学系物理療法学会誌. 2022;46(2):23-26.(DOI 10.32255/jjsop.46.2_23・教育講演)逐語=「その原因は腱板炎・断裂、上腕二頭筋長頭腱炎、石灰沈着性腱板炎、肩峰下滑液包炎、烏口突起炎などが推測される。」評釈:日本の臨床用語「肩関節周囲炎」がこれらを含む総称として使われている実例として引いています(この講演の鍼通電の記述は H2⑧で扱います)。
  • 有病率=Ben-Arie 2020(ボックス⑤に書誌)の逐語 “The condition occurs in 2-5% of the population, and it is especially common around the age of 50 years. FS symptoms will recover after 1-4 years.”(当サイトによる訳:この病態は人口の2〜5%に起き、特に50歳前後に多い。凍結肩の症状は1〜4年で回復する。)/韓国の診療ガイドライン2025(ボックス⑦に書誌)=2〜5%・40〜65歳・女性に多い。⚠️ 「1〜4年で回復する」は総説的な記述で、自然経過の一次資料は H2②で別に扱います。
  • Maund E, ほか. Management of frozen shoulder: a systematic review and cost-effectiveness analysis. Health Technol Assess. 2012;16(11):1-264.(PMID 22405512/DOI 10.3310/hta16110)定義の逐語=”It can be described as either primary (idiopathic) whereby the aetiology is unknown, or secondary, when it can be attributed to another cause. It is commonly a self-limiting condition, of approximately 1 to 3 years’ duration, though incomplete resolution can occur.”(当サイトによる訳:原因不明の一次性〈特発性〉と、他の原因に帰せられる二次性に分けられる。通常は約1〜3年で自然に収まる病態だが、不完全な回復に終わることもある。)
  • Kelley MJ, ほか. Shoulder pain and mobility deficits: adhesive capsulitis. J Orthop Sports Phys Ther. 2013;43(5):A1-A31.(PMID 23636125/DOI 10.2519/jospt.2013.0302)用語の逐語(PDF目視・Tier B)=”The term adhesive capsulitis is used, rather than frozen shoulder, because it is the term used in the ICD.”(当サイトによる訳:本指針では frozen shoulder ではなく adhesive capsulitis の語を用いる。ICD で使われている用語だからである。)ICD-10 では M75.0。この指針は一次性と、糖尿病・甲状腺疾患・脳血管障害・上腕骨近位部骨折・腱板や関節唇の病変に関連した二次性の両方を対象にしています。
  • 🛑 評釈:「肩の痛み」全般を対象にした系統的レビュー(腱板疾患・インピンジメント・非特異的肩痛を含むもの)の数値は、この記事では五十肩の数値として使っていません。日本語の「肩関節周囲炎」と英語の adhesive capsulitis の範囲の違いによる取り違えを避けるためです。

五十肩は、放っておけば自然に良くなるのか

「五十肩は放っておいても良くなる」。よく聞く言葉ですよね。

鍼の試験を読む前に、ここを片づけておきます。無治療と比べた試験の意味が変わるからです。

結論から言うと、「自然に良くなる」側と「良くなりきらない人が一定数いる」側の、両方に一次資料があります。

「自然に良くなる」側の資料

フィンランドの2012年の報告(Vastamäki 2012)は、無治療で経過を見た51名のうち、最終追跡で94%が反対側と同じ可動域まで回復していたとしています。

ただし続きがあります。同じ無治療群で痛みが完全に無くなっていたのは51%。しかも、あとから記録をさかのぼった調査です。「94%が回復」だけを引くと、痛みが残った半数が消えます。

古典的な1975年の追跡(Reeves 1975)でも、回復まで平均約30か月かかり、半数超に軽い可動域制限が残っていました。

「良くなりきらない人がいる」側の資料

英国の2008年の報告(Hand 2008)は、一次性の五十肩223名を平均4.4年追跡しました。

59%は正常かほぼ正常でしたが、41%には何らかの症状が残り、6%は痛みと機能障害を伴う重い症状でした。

2017年の系統的レビュー(Wong 2017)は、「3段階を経て自然に完全回復する」という説そのものを検証しています。

結論は、無治療で完全に回復するという段階説を支持する根拠は無かった。同時に、改善が起きるのは早い時期であって遅い時期ではない、とも書いています。

「様子を見る」は「何もしない」ではない

痛みの範囲内の運動を続けながら経過を見た「supervised neglect」の群が、集中的な理学療法の群より2年後の成績が良かった、という報告もあります(Diercks 2004・無作為化の記載は無い研究です)。これは無治療ではありません。

鍼の話に戻すと、こうなります。

無治療と比べた試験で鍼の群が良くても、観察期間が数週〜数か月と短ければ、自然経過の早い時期の改善と重なっている可能性がある。そして対照が「本当に何もしない」のか「痛みの範囲内で動かす」のかで、意味が変わる。

この前提を持ったまま、次の章へ進んでください。

図解:五十肩の自然経過について、無治療で可動域が回復した割合を報告した研究と、長期追跡で症状が残った割合を報告した研究を左右に並べ、両方に一次資料があることを示した図

自然経過は両論

「自然に良くなる」と「症状が残る」は、両方に一次資料がある

片方だけを患者さんに伝えると、事実がずれます。

自然に良くなる側|フィンランド・無治療群51名・平均9年追跡(全体)(Vastamäki 2012)
可動域が反対側の水準まで回復

94%。ただし痛みが完全に無かったのは51%。後ろ向き調査(Level IV)

症状が残る側|英国・一次性223名・平均4.4年後(Hand 2008)
正常またはほぼ正常=59%

何らかの症状が残った=41%(大半は軽度)。痛みと機能喪失を伴う重い症状=6%

罹病期間の平均と、段階説の検証

15か月(Vastamäki・無治療群51名)/30.1か月(Reeves 1975・49名・全期間)。2017年の系統的レビュー(Wong 2017)は、無治療で完全に回復する段階説を支持する根拠は無く、改善は早い時期に起きる、としている(当サイトの訳)

模式図です。左右のカードは別の研究・別の対象・別の指標(可動域と自覚症状)の割合で、どちらが正しいかという関係ではありません。94%は可動域の回復で、同じ群の完全無痛は51%です。Hand 2008 の対象が治療を受けたかどうかの内訳は抄録に無く、当サイトは本文を取得していません。いずれも鍼の効果を示す数値ではありません。出所=Vastamäki 2012(PMID 22090356)/Hand 2008(PMID 17993282)/Reeves 1975(PMID 1198072)/Wong 2017(PMID 27641499)。カードの構成は当サイトが組み直したもので、原典にこの図はありません。

エビデンスボックス② 自然経過の一次資料(深く知りたい方向け・飛ばしてOK)
  • Reeves B. The natural history of the frozen shoulder syndrome. Scand J Rheumatol. 1975;4(4):193-196.(PMID 1198072/DOI 10.3109/03009747509165255)前向き・49名(41名を5〜10年追跡)。逐語(Tier B)=”There were three consecutive stages: pain, stiffness, and recovery.”/”The total duration was longer than is generally supposed (an average total of 30.1 months in contrast to about 18 months as often postulated).”/”After greatest recovery, slight restriction of movement was found in more than half the cases, but in only 3, all of long duration, was the restriction a handicap.”(当サイトによる訳:痛み・こわばり・回復の3つの連続した段階があった。/全期間は一般に考えられているより長かった〈平均30.1か月。しばしば想定される約18か月に対して〉。/最大の回復の後も、半数を超える例に軽い可動域制限が残ったが、それが支障になったのは3例だけで、いずれも罹病期間の長い例だった。)評釈:「3病期」説の原典です。著者自身が、一般に言われる18か月より長いと書いています。
  • Hand C, Clipsham K, Rees JL, Carr AJ. Long-term outcome of frozen shoulder. J Shoulder Elbow Surg. 2008;17(2):231-236.(PMID 17993282/DOI 10.1016/j.jse.2007.05.009)223名269肩・一次性・平均追跡4.4年(2〜20年)。逐語(Tier B)=”In the long term, 59% of patients had normal or near normal shoulders and 41% reported some ongoing symptoms. The majority of these persistent symptoms were mild (94%), with pain being the most common complaint. Only 6% had severe symptoms with pain and functional loss. Those with the most severe symptoms at condition onset had the worst long-term prognosis, P < .001.”(当サイトによる訳:長期的には59%の患者が正常またはほぼ正常な肩で、41%が何らかの持続症状を報告した。持続症状の大半〈94%〉は軽度で、痛みが最も多い訴えだった。痛みと機能喪失を伴う重い症状は6%のみだった。発症時に最も重い症状があった人の長期予後が最も悪かった。)⚠️ 治療を受けたかどうかの内訳は抄録に無く、当サイトは本文を取得していません。
  • Vastamäki H, Kettunen J, Vastamäki M. The natural history of idiopathic frozen shoulder: a 2- to 27-year followup study. Clin Orthop Relat Res. 2012;470(4):1133-1143.(PMID 22090356/DOI 10.1007/s11999-011-2176-4)後ろ向き・83名(無治療51・保存療法32)+授動術20名・平均9年・Level IV。逐語(Tier B)=”The duration of the disease averaged 15 months (range, 4-36 months) in the untreated group”/”At last followup the ROM had improved to the contralateral level in 94% in the untreated group”/”Fifty-one percent of patients in the untreated group … were totally pain free”/結論=”We found 94% of patients with spontaneous frozen shoulder recovered to normal levels of function and motion without treatment.”(当サイトによる訳:無治療群の罹病期間は平均15か月〈4〜36か月〉。/最終追跡時、無治療群の94%で可動域が反対側の水準まで改善していた。/無治療群の51%が完全に無痛だった。/特発性凍結肩の患者の94%が、治療なしで正常な機能と可動域の水準まで回復した。)🛑 評釈:当サイトは「94%」を、「完全無痛は51%」「後ろ向き・Level IV」と同じ場所に置いてのみ使います。
  • Shaffer B, Tibone JE, Kerlan RK. Frozen shoulder. A long-term follow-up. J Bone Joint Surg Am. 1992;74(5):738-746.(PMID 1624489)62名68肩・非手術・平均7年。逐語=”Thirty-one (50 per cent) of these patients still had either mild pain or stiffness of the shoulder, or both.”/”Only seven patients (11 per cent) reported mild functional limitation.”(当サイトによる訳:31名〈50%〉に肩の軽い痛みかこわばり、またはその両方が残っていた。/軽い機能制限を報告したのは7名〈11%〉のみだった。)評釈:半数に軽い症状、機能制限は1割。「良くなりきらない」側と「支障は少ない」側の中間の資料です。
  • Wong CK, Levine WN, Deo K, ほか. Natural history of frozen shoulder: fact or fiction? A systematic review. Physiotherapy. 2017;103(1):40-47.(PMID 27641499/DOI 10.1016/j.physio.2016.05.009)7研究(無治療群あり・6か月以上)。逐語=”Low-quality evidence suggested that no treatment yielded some, but not complete, improvement in range of motion after 1 to 4 years of follow-up. No evidence supported the theory of progression through recovery phases to full resolution without treatment. On the contrary, moderate-quality evidence from three randomised controlled trials with longitudinal data demonstrated that most improvement occurred early, not late.”/”the theory of recovery phases leading to complete resolution without treatment for frozen shoulder is unfounded.”(当サイトによる訳:質の低いエビデンスは、無治療でも1〜4年の追跡後に可動域がある程度〈ただし完全ではなく〉改善することを示唆した。無治療で回復段階を経て完全に消失するという説を支持するエビデンスは無かった。逆に、経時データを持つ3つのランダム化比較試験からの中等度の質のエビデンスは、改善の大半が遅い時期ではなく早い時期に起きたことを示した。/無治療で完全に消失に至る回復段階説は根拠がない。)評釈:「改善は早期に起きる」は、4週間の無治療群が「変化なし」だった Cheing 2008(H2⑤)と単純には整合しません。当サイトは両方を書いています。
  • Diercks RL, Stevens M. Gentle thawing of the frozen shoulder: a prospective study of supervised neglect versus intensive physical therapy in seventy-seven patients with frozen shoulder syndrome followed up for two years. J Shoulder Elbow Surg. 2004;13(5):499-502.(PMID 15383804/DOI 10.1016/j.jse.2004.03.002)前向き・77名・無作為化の記載なし。逐語=”In the patients treated with supervised neglect, 89% had normal or near-normal painless shoulder function (Constant score > or =80) at the end of the observation period. … In contrast, of the group receiving intensive physical therapy treatment, only 63% reached a Constant score of 80 or higher after 24 months.”(当サイトによる訳:supervised neglect で治療した患者では、観察期間の終了時に89%が正常またはほぼ正常な無痛の肩機能〈Constant スコア80以上〉だった。…対照的に、集中的な理学療法を受けた群では、24か月後に Constant スコア80以上に達したのは63%だけだった。)🛑 supervised neglect=痛みの範囲内の運動と支持療法。「無治療」ではありません。「積極的にやりすぎると悪い」の原典としてよく引かれます。
  • ⚠️ 当サイトが本文に出していない資料:Martin 2025(J Shoulder Elbow Surg・PMID 39537016・RCT 61名・様子見 vs 理学療法)は、両群の96%がステロイド注射を受けており、「注射+様子見」と「注射+理学療法」の比較です。「理学療法は要らない」とは読めないため、本文では扱っていません。Binder 1984(PMID 6742896)の「モビライゼーション理学療法が不良な転帰と関連」は観察研究の関連で、因果ではありません。

五十肩の鍼について、コクランは何と書いているのか

ここが出発点です。ただし事情が1つあります。

コクランレビュー(決まった手順で試験を集めて評価する国際組織の報告書)に、五十肩だけを対象にした鍼のレビューはありません。

あるのは「肩の痛み」全体への鍼のレビュー(2005年・9試験)で、五十肩はその一部です。

検索は2003年12月で止まり、そのあと更新の記録がありません。

著者結論は3文です。途中で切らずに置きます。

出所:Green S, Buchbinder R, Hetrick S. Acupuncture for shoulder pain. Cochrane Database Syst Rev. 2005;(2):CD005319(PMID 15846753)Authors’ conclusions(全3文)。原文(英語)の全文はエビデンスボックス③に置いています
当サイトによる訳
1文目|臨床的にも方法論的にも多様な試験が少数しかないため、このレビューからはほとんど何も結論できない。
2文目|肩の痛みへの鍼の使用を支持する根拠も否定する根拠も乏しいが、疼痛と機能については短期的な利益があるかもしれない。
3文目|さらによく設計された臨床試験が必要である。

要点は2つです。

1つ目。2文目は否定と肯定が同じ1文の中にあり、切り離して引けません。

2つ目。五十肩に絞ると、本文で扱われている試験は2つだけで、向きが逆です。(抄録にある肩の機能スコアの数値は腱板疾患のもので、この記事では出しません)

五十肩の2試験は、向きが逆だった

香港の35名の試験(Sun 2001)では、運動に鍼を足した群が運動だけの群より良い結果でした。

台湾の試験(Lin 1994)では、電気鍼だけの群が神経ブロックだけの群に劣っていました。

「まとめると判断できない」の中身は、個々には「鍼を足すと良い」と「ブロックのほうが良い」が1つずつ、ということです。それぞれ後の章で扱います。

コクランのどこを先に見るかは、コクランレビューの使い方|鍼灸師が結論より先に見る3か所で整理しています。

エビデンスボックス③ CD005319 の書誌・版・著者結論の原文と、五十肩の2試験の記述(深く知りたい方向け・飛ばしてOK)
  • Green S, Buchbinder R, Hetrick S. Acupuncture for shoulder pain. Cochrane Database Syst Rev. 2005;(2):CD005319.(PMID 15846753/DOI 10.1002/14651858.CD005319/PMC12130916)
  • 当サイトの確認=Main results 全文と Authors’ conclusions 3文を、PubMed の生XML(curl で直接取得)と PMC 本文の独立した経路で照合し、一字一句一致(Tier A)。PubMed の記録に更新版・撤回の情報(UpdateIn・RetractionIn)はありません。Europe PMC に pub2 はなく、PMC 版に「no longer updated」等の表示もありません。⚠️ Cochrane Library 本体のページは当サイトの経路では到達できず、「stable」表示の有無は未確認です。
  • 版と古さ:プロトコル1998年、初版1999年、2005年2月に「結論が変わる実質的改訂」、2008年6月に書式変換。検索の締め(抄録の逐語)=”searched from inception to December 2003″。
  • Authors’ conclusions の原文(全3文)=”Due to a small number of clinical and methodologically diverse trials, little can be concluded from this review. There is little evidence to support or refute the use of acupuncture for shoulder pain although there may be short-term benefit with respect to pain and function. There is a need for further well designed clinical trials.”(当サイトによる訳は本文の引用ブロック)🛑 評釈:2文目の前半と後半は同じ1文です。片方だけを引くことはしません。
  • 抄録の Main results のうち、五十肩の記事で使わない数値=”Two trials assessed short-term success (post intervention) of acupuncture for rotator cuff disease and could be combined in meta analysis. … Acupuncture was of benefit over placebo in improving the Constant Murley Score (a measure of shoulder function) at four weeks (WMD 17.3 (7.79, 26.81)). However, by four months, the difference between the acupuncture and placebo groups, whilst still statistically significant, was no longer likely to be clinically significant (WMD 3.53 (0.74, 6.32)).”(当サイトによる訳:2試験が腱板疾患への鍼の短期的な成功〈介入後〉を評価し、メタ解析で統合できた。〈中略〉4週時点で鍼はプラセボより Constant Murley スコア〈肩機能の指標〉を改善した〈WMD 17.3、7.79〜26.81〉。しかし4か月時点では、鍼群とプラセボ群の差は統計的には有意なままだが、臨床的に意味がある可能性はもはや低かった〈WMD 3.53、0.74〜6.32〉。)🛑 これは腱板疾患(rotator cuff disease)の2試験の統合です。偽鍼の型も “Varying placebos were used in the different trials.” と特定されていません。
  • 本文の adhesive capsulitis の記述(PMC 本文・編集長が HTML を直接取得して逐語一致)=”A small trial comparing acupuncture and exercise with exercise alone for adhesive capsulitis (Sun 2001) showed a significant difference favouring the acupuncture plus exercise group in a composite measure of pain, range of motion and functioning post intervention (WMD 9.20 (0.54 to 17.86)) (out of a total score of 100). The effect remained at 20 weeks follow-up (WMD 9.40 (0.52 to 18.28)).”(当サイトによる訳:癒着性関節包炎について、鍼+運動と運動単独を比較した小規模な試験〈Sun 2001〉は、介入後の疼痛・可動域・機能の複合指標で鍼+運動群を支持する有意差を示した〈WMD 9.20、0.54〜17.86、100点満点〉。効果は20週の追跡でも残っていた〈WMD 9.40、0.52〜18.28〉。)評釈:信頼区間の下限は0.54で、辛うじて有意です。
  • 同じく=”A trial of 100 participants with adhesive capsulitis, published in Chinese, investigated the relative effects of electroacupuncture and regional nerve block (anaesthesia of stellate ganglion and suprascapular nerve) (Lin 1994). There was a significant difference favouring nerve block over acupuncture in reducing pain at 30 hours follow-up (WMD 1.33 (1.22 to 1.44 )) (out of a total score of 4). The time to achieve maximum pain relief was significantly shorter in the nerve block group (WMD 64.96 (60.50 to 69.42 minutes)). There was a statistically significant but small difference favouring nerve block in increasing range of flexion (WMD ‐7.00 (‐11.17 to ‐2.83)). No adverse effect was assessed for either intervention. This trial gives no information as to the relative effect of either intervention compared to no treatment or placebo.”(当サイトによる訳:癒着性関節包炎の100名を対象に中国語で発表された試験〈Lin 1994〉は、電気鍼と局所神経ブロック〈星状神経節と肩甲上神経の麻酔〉の相対的な効果を調べた。30時間後の疼痛の軽減では、神経ブロックを支持する有意差があった〈WMD 1.33、1.22〜1.44、4点満点〉。最大の鎮痛に達するまでの時間は神経ブロック群で有意に短かった〈WMD 64.96、60.50〜69.42分〉。屈曲の可動域の増加でも、神経ブロックを支持する統計的に有意だが小さい差があった〈WMD −7.00、−11.17〜−2.83〉。どちらの介入についても有害事象は評価されていない。この試験は、どちらの介入についても、無治療やプラセボと比べた相対的な効果については何の情報も与えない。)評釈:段落全文です(編集長が PMC 本文で2026-09-12 に確認)。向きはすべて神経ブロック側で、無治療・プラセボとの比較の情報は無い、と著者自身が書いています。⚠️ 人数の食い違い=コクラン本文は「100名」、原著抄録(PMID 7894919)は「150名・3群」。コクランが2群だけを解析したと読めますが未確認です。本文では原著の150名・3群を書いています。
  • 採用9試験(PMC 本文の一覧・Tier B)=Berry 1980/Ceccherelli 2001/Dyson-Hudson 2001/Kleinhenz 1999/Lin 1994/Moore 1976/Romoli 2000/Sun 2001/Yuan 1995。五十肩は Lin 1994 と Sun 2001 の2試験です。
  • Implications for practice(PMC 本文・4文・Tier B)=”Due to a small number of clinical and methodologically diverse trials, little can be concluded from this review. There is little evidence to either support or refute the use of acupuncture for treating shoulder pain and more trials are needed. The limited evidence available indicates some short term benefit of acupuncture compared to placebo with respect to shoulder specific disability. Little is known of the potential for adverse effects.”(当サイトによる訳:〈1・2文目は著者結論とほぼ同じ〉利用できる限られたエビデンスは、肩特異的な障害についてプラセボと比べた鍼の短期的な利益をいくらか示している。有害事象の可能性についてはほとんど分かっていない。)
  • 撤回された別レビュー=Green S, Buchbinder R, Glazier R, Forbes A. WITHDRAWN: Interventions for shoulder pain. Cochrane Database Syst Rev. 2007;(3):CD001156.pub2.(PMID 17636656)🛑 撤回されたのはこちらで、CD005319 ではありません。「肩のコクランは撤回された」と聞いたら、番号を確かめてください。
  • 凍結肩に絞った他のコクラン=Page 2014「徒手療法と運動」(CD011275・PMID 25157702)と Page 2014「電気療法」(CD011324・PMID 25271097)は、抄録に鍼の語がありません(当サイトの確認は1パス)。凍結肩に絞って鍼を比較対象にしたコクランは見つかりませんでした。

偽鍼と比べると、五十肩の鍼はどう見えるのか

図解:五十肩への鍼の試験を、比較の相手(偽鍼・無治療・運動に足す・神経ブロック)ごとに4枚のカードに分け、試験数・人数・報告された結果の向きを並べた図

比較の相手別

何と比べたかで、五十肩の鍼の景色が変わる

同じ「五十肩の鍼」でも、相手によって結果の向きが違います。

偽鍼と比べた試験

2試験・21名+60名(当サイトが原著で確認できた範囲)

21名の試験(電気鍼+リハビリ vs 偽電気鍼+リハビリ・偽の型は当サイト未確認)=肩の機能に有意差なし(痛みの低下の早さと、屈曲・外転の自動可動域の改善は本物の群が上)。60名の試験(円皮鍼 vs 偽円皮鍼・肩ではなく手足に貼付)=直後の痛みに小さいが有意な差。偽鍼に勝った大規模試験は無い

電気鍼+運動 vs 無治療

1試験・70名

電気鍼+運動と干渉波+運動はともに改善、無治療群は4週間有意な変化なし。介入2群の間に差は検出されず。鍼単独の比較ではない

運動に鍼を足す vs 運動

1試験・35名(コクラン採用)

改善率で鍼を足した群が良い。鍼は反対側の下腿の奇穴1穴・鍼群だけ追加の運動・割付22:13

電気鍼 vs 神経ブロック(星状神経節+肩甲上神経)

1試験・150名・3群(コクラン本文は100名と記載)

併用が最良、電気鍼だけの群はブロックだけの群に劣る。1994年・4段階の粗い痛みの尺度

模式図です。各カードは1〜2本の小さな試験で、統合値ではありません。カード2の「無治療に勝った」は運動を含む複合介入の結果で、鍼単独ではありません。カード3の鍼は肩に刺しておらず、有意だったのは改善率で、スコアの生の値は6週で有意ではありませんでした(20週では有意)。偽鍼と比べた試験は、原著を確認できていないものが他にもあります(14名の台湾の試験など)。カード2〜4は偽鍼を置いた比較ではありません。無治療の群(カード2)と運動だけの群(カード3)の参加者は、自分が鍼を受けていないことを知っています。カード2の試験は「二重盲検」と記載していますが、無治療群は盲検化できません。カード4の盲検化は当サイト未確認です。カード2の4週間は短く、自然経過の早い時期の改善(図解①・Wong 2017)と重なる可能性があります。「有意差なし」は差が無いことの証明ではありません。出所=Lo 2020(PMID 31097283)/Schröder 2017(PMID 28371868)/Cheing 2008(PMID 18292916)/Sun 2001(PMID 11773673)/Lin 1994(PMID 7894919)。カードの構成は当サイトが組み直したもので、原典にこの図はありません。

ここから「何と比べたか」で分けていきます。最初は偽鍼(本物に似せた対照用の処置)です。

五十肩で偽鍼と比べた試験は、当サイトが確認した範囲で小さなものが2本です。

台湾の21名の試験=機能に差は認められず、可動域は本物が良かった

台湾の試験(Lo 2020)は、21名を電気鍼+リハビリと、偽の電気鍼+リハビリに分けました。

肩の機能の指標では、1・3・6か月のどの時点でも両群に有意差が認められませんでした。

いっぽう痛みの低下は本物の群のほうが早く、屈曲と外転の自動可動域の改善も本物の群で大きかった、と報告されています。

1群は10名前後です。

そして偽の電気鍼がどんな処置だったか(刺したのか、通電したのか)は、本文を取得できておらず不明です。

ドイツの60名の試験=円皮鍼の「直後」に小さな差

ドイツの試験(Schröder 2017)は、60名を円皮鍼と偽の円皮鍼に分け、貼った直後の痛みを比べました。

痛みの下位尺度(15点満点)の改善は本物で3.3点、偽で1.6点。統計的には有意ですが差は小さく、測ったのは「直後」です。

刺したのは肩ではなく、離れた手足の反射区で、局所への施術を避ける設計でした。日本の一般的な型とは別物です。

「偽鍼に勝った大規模試験は無い」と書く理由

五十肩で偽鍼と比べた試験は、合わせても100名に届きません。偽鍼に勝った、と言える大規模な試験は無い。これが現時点の事実です。

ただし「有意差なし」は「差が無い証明」ではなく、偽鍼の型によってはそれ自体が体に作用している可能性もあります。偽鍼の型の違いは偽鍼(シャム鍼)とは何か|4つのタイプと「不活性でない」問題にまとめています。

エビデンスボックス④ 偽鍼と比べた試験の原文(深く知りたい方向け・飛ばしてOK)
  • Lo MY, Wu CH, Luh JJ, ほか. The effect of electroacupuncture merged with rehabilitation for frozen shoulder syndrome: A single-blind randomized sham-acupuncture controlled study. J Formos Med Assoc. 2020;119(1 Pt 1):81-88.(PMID 31097283/DOI 10.1016/j.jfma.2019.03.012)単盲検・21名・18回/6〜9週・追跡1・3・6か月。対照=”sham electroacupuncture group (SEAG)”+両群にリハビリ。当サイトの確認=Results の2文と Conclusion を PubMed XML と Europe PMC で照合(Tier A)。
  • Results の逐語=”It demonstrated that the TEAG or SEAG showed lasting effects at 1, 3, and 6 months, although with no significant difference between these two groups in the shoulder functional ability outcomes. However, the decline in the VAS occurred earlier in the TEAG than the SEAG. Also, there was much more improvement in AROM for flexion and abduction in the TEAG than the SEAG.”/Conclusion=”These results suggest that electroacupuncture plus rehabilitation may provide earlier pain relief for patients with FSS and could be applied clinically.”(当サイトによる訳:本物の電気鍼群も偽電気鍼群も1・3・6か月で持続する効果を示したが、肩の機能のアウトカムでは両群に有意差は無かった。しかし VAS の低下は本物の群のほうが早く起きた。また屈曲と外転の自動可動域の改善は本物の群のほうがはるかに大きかった。/これらの結果は、電気鍼とリハビリの併用が凍結肩の患者により早い疼痛軽減をもたらす可能性があり、臨床に応用できることを示唆する。)
  • 🛑 評釈:主要な読みは「機能(SPADI)に群間差なし」です。「VAS の低下が早い」は時点の話で、最終時点の差の記述は抄録にありません。可動域の改善が大きかった点は肯定側の記述として落とさずに書いています。偽電気鍼の型(刺入・通電・部位)は本文未到達で不明です。この論文には2026年のコメント(PMID 40393835)と著者回答(PMID 40494741)がありますが、当サイトは内容を取得していません。
  • Schröder S, Meyer-Hamme G, Friedemann T, ほか. Immediate Pain Relief in Adhesive Capsulitis by Acupuncture-A Randomized Controlled Double-Blinded Study. Pain Med. 2017;18(11):2235-2247.(PMID 28371868/DOI 10.1093/pm/pnx052)患者・評価者盲検・60名・一次性癒着性関節包炎・対照=”press tack placebos”(偽円皮鍼。型の詳細は抄録に無い)。当サイトの確認=PubMed XML のみ(Tier B)。
  • 逐語(Results の1文目)=”An immediate improvement of 3.3 ± 3.2 points in Constant-Murley Shoulder Score (CMS) pain subscore was seen in the press tack needles group and of 1.6 ± 2.8 points in the press tack placebos group (P < 0.02). …”/Methods=”Acupuncture treatment was performed using a specific distal needling concept, using reflex areas on distant extremities avoiding local treatment.”(当サイトによる訳:Constant-Murley 肩スコアの疼痛下位尺度の即時の改善は、円皮鍼群で3.3±3.2点、偽円皮鍼群で1.6±2.8点だった〈P<0.02〉。/鍼治療は、遠位の四肢の反射区を用い局所治療を避ける特定の遠隔刺鍼の概念で行われた。)
  • 🛑 評釈:Results の続きの文は、その後のオープン追跡(保存療法+古典的鍼10回と保存療法のみの比較)の週数を報告していますが、その割り付けが無作為かどうかを抄録から判別できないため、当サイトは数値を載せていません。無作為化されたのは円皮鍼と偽円皮鍼の「即時」の比較です。抄録の結論にある「demonstrated」という語も当サイトは引きません。CMS の疼痛下位尺度は15点満点です。
  • Trinh K, Belski N, Kuhad A, Gibson C. The Efficacy of Acupuncture on Shoulder for Pain Intensity, Functional Status, and General Quality of Life in Adults: A Systematic Review. Med Acupunct. 2026;38(3):200-210.(PMID 42136993/DOI 10.1177/19336586251399629)10 RCT・748名・鍼単独 vs 非活性対照のみ・叙述的統合。逐語=”For adhesive capsulitis, although one trial indicated a significant reduction in long-term pain, another indicated no improvement. Five trials reported the incidence of adverse effects.”/Conclusion(3文)=”Limited evidence suggests acupuncture as a standalone treatment to be effective and safe for improving shoulder pain and function. Clinicians should exercise caution when interpreting the results of this review due to the limited sample sizes and low-quality evidence. Further research is warranted.”(当サイトによる訳:癒着性関節包炎については、1試験が長期の疼痛の有意な減少を示した一方、別の1試験は改善なしだった。5試験が有害事象の発生を報告した。/限られたエビデンスは、単独治療としての鍼が肩の痛みと機能の改善に有効で安全であることを示唆する。臨床家は、サンプルサイズの限界と質の低いエビデンスのため、このレビューの結果の解釈に注意すべきである。さらなる研究が必要である。)⚠️ 凍結肩の2試験がどれかは抄録に無く、当サイトは本文を取得していません。これは「肩の痛み」全体のレビューで、五十肩の統合値はありません。
  • ⚠️ 当サイトが数値を載せていない試験:Lin 2005(台湾・14名・偽経穴への電気鍼・即時の屈曲8度)は PubMed 未収載で原著未確認のため、存在のみです。

無治療や運動と比べると、どう見えるのか

比較の相手が変わると、景色が変わります。

ここは、日本の鍼灸院の実務にいちばん近い比較です。運動療法をしている患者さんに鍼を足すかどうか、という話だからです。

香港の70名の試験=無治療群は4週間「変化なし」

五十肩で無治療と比べた試験は、当サイトが確認した範囲で1本だけです(Cheing 2008)。

70名を、電気鍼+運動、干渉波+運動、4週間なにも治療しない群の3つに分けました。

結果は、介入2群で機能スコアが上がり痛みが下がった、無治療群はどの指標も変化しなかった介入2群の間に有意差は認められなかった、というものでした。改善は6か月後も保たれていました。

注意が2つ。これは「電気鍼が干渉波と同じ」ではなく、「2群の差を検出できなかった」までです。

そして無治療に勝ったのは「運動に何かを足した群」で、鍼単独の比較ではありません。群間の差の大きさも抄録に書かれていません。

香港の35名の試験=「鍼を足すと良い」の中身

コクランが採ったもう1本が、運動に鍼を足した試験です(Sun 2001)。

6週間の群運動だけの群と、週2回・計12回の鍼を足した群を比べ、改善率で鍼を足した群が良かった、という結果でした。

ただし本文まで読むと、注意点が並びます。

有意差が出たのは「改善率」(施術前からどれだけ良くなったかを%で表したもの)で、スコアの点数そのものを比べると6週の時点では有意ではありませんでした(P=0.056)。

割り付けは運動22名・鍼併用13名と偏っていて、この人数では小さな差を見つけにくい、と著者自身が書いています。

そして鍼の中身です。

この試験の鍼は、肩に刺していません。反対側の下腿にある奇穴1か所に、約6cm の深さまで刺す方法でした。

しかも刺鍼中に肩を動かす運動を組み合わせており、著者自身が「鍼群だけが追加の運動をした分の効果と区別できない」と留保しています。日本の一般的な五十肩の施術とは、型がまったく違います。

系統的レビューはどう言っているか

凍結肩に絞った2020年のレビュー(Ben-Arie 2020)は「鍼は対照より痛みを減らした」と結論する一方、同じ結論の2文目は「確実性は非常に低い」です。しかも「対照」は理学療法・偽鍼・注射・鍼同士の混合です。

この章の試験は、いずれも参加者が受けた処置を知っています。

期待や注目の効果を施術そのものの効果から分けられない点は鍼のエビデンスは比較対照で変わる|無治療比・偽鍼比・実薬比で整理しています(上乗せ試験・待機リスト対照の記事は関連記事欄へ)。

エビデンスボックス⑤ 無治療・運動と比べた試験と、系統的レビューの原文(深く知りたい方向け・飛ばしてOK)
  • Cheing GL, So EM, Chao CY. Effectiveness of electroacupuncture and interferential eloctrotherapy in the management of frozen shoulder. J Rehabil Med. 2008;40(3):166-170.(PMID 18292916/DOI 10.2340/16501977-0142)70名・3群・10回/4週・追跡6か月。対照=”the control group received no treatment for 4 weeks”。当サイトの確認=PubMed XML と出版社サイトで一致(Tier A)。
  • Results の逐語=”In both the electroacupuncture and interferential electrotherapy groups, the Constant Murley Assessment score increased and the visual analogue scale score decreased significantly (both p < 0.001). No significant change was found in any outcome of the control group, and no significant difference was found between the 2 intervention groups (all p > 0.05). The observed improvement was well maintained in both intervention groups at least until the 6-month follow-up session.”/Conclusion(2文)=”Either electroacupuncture or interferential electrotherapy in combination with shoulder exercises is effective in treating frozen shoulder patients. However, no significant difference was found between these types of treatment.”(当サイトによる訳:電気鍼群と干渉波群の両方で、Constant Murley スコアは有意に上昇し VAS は有意に低下した〈いずれも p<0.001〉。対照群ではどのアウトカムにも有意な変化は無く、2つの介入群の間に有意差は無かった〈すべて p>0.05〉。観察された改善は両介入群で少なくとも6か月の追跡まで良好に維持された。/電気鍼と干渉波のいずれも、肩の運動と組み合わせれば凍結肩の患者の治療に有効である。ただし、これらの治療の種類の間に有意差は無かった。)
  • 🛑 評釈:群間比較の効果量は抄録に無く、書けるのは群内の変化(p<0.001)と「対照群は変化なし」までです。「電気鍼=干渉波」ではなく「差を検出できなかった」です。抄録は「double-blinded」と自称していますが、無治療群がある設計で参加者の盲検は成立しません。米国の理学療法士協会の指針(H2⑦)は、この試験を物理療法の節で Level II として記述しています。
  • Sun KO, Chan KC, Lo SL, Fong DY. Acupuncture for frozen shoulder. Hong Kong Med J. 2001;7(4):381-391.(PMID 11773673)評価者盲検・ITT・35名(運動22/運動+鍼13)・6週・追跡20週。対照=週2回30分×6週の群運動(コクランの試験特性表=”Standard group exercise programme for 30 minutes, twice a week for six weeks of gentle shoulder stretching.”)。当サイトの確認=抄録は PubMed XML と Europe PMC で一致(Tier A)、本文は編集長が HKMJ の PDF を目視(Tier B)。
  • 抄録の逐語=”Improvements in scores by 39.8% (standard deviation, 27.1) and 76.4% (55.0) were seen for the exercise and the exercise plus acupuncture groups, respectively at 6 weeks (P=0.048), and were sustained at the 20-week re-assessment (40.3% [26.7] and 77.2% [54.0], respectively; P=0.025). We conclude that the combination of acupuncture with shoulder exercise may offer effective treatment for frozen shoulder.”(当サイトによる訳:スコアの改善率は6週時点で運動群39.8%〈SD 27.1〉、運動+鍼群76.4%〈55.0〉であり〈P=0.048〉、20週の再評価でも維持された〈40.3%〈26.7〉と77.2%〈54.0〉、P=0.025〉。鍼と肩の運動の組み合わせは凍結肩の有効な治療となりうると我々は結論する。)
  • 🛑 本文(目視・Tier B)で分かったこと=①有意なのは「改善率(%)」で、Constant スコアの生の値は6週で P=0.056(有意でない)、20週で P=0.048。②鍼は対側の下腿の奇穴「中平(Zhongping)」1穴のみ=”Contralateral needling was adopted, that is, the right-side acupoint was used for left frozen shoulder and vice versa.”(当サイトによる訳:対側刺鍼を採用した。すなわち左の凍結肩には右側の経穴を用い、その逆も同様である。)。30G・7.62cm の鍼を 6.35cm の深さまで刺入、置鍼20分・1分間の手技を3回、刺鍼中に患側の肩を挙上・外転・内外旋。③回数=週2回×6週=12回。施術者は理学療法士。④割付=乱数表で22名/13名。著者自身の留保=”better randomisation methods, such as block randomisation, should be utilised”(当サイトによる訳:ブロック無作為化などのより良い無作為化の方法を用いるべきである。)。⑤事後の検出力=41%(6週)・43%(20週)。⑥著者の留保=”The significantly better outcome of the patients receiving acupuncture in addition to exercise therapy … might, to a certain extent, be due to the completion of additional shoulder exercises that were less painful.”(当サイトによる訳:運動療法に加えて鍼を受けた患者の有意に良好な転帰は、ある程度、痛みの少ない追加の肩の運動を完了したことによるかもしれない。)追加の運動は計240分。⑦結論の逐語=”Despite the limitations of this clinical trial, we conclude that the combination of acupuncture and physical exercise may be an effective option in the treatment of frozen shoulder.” ⑧有害事象=”there was no acupuncture-related complication and only one patient in the exercise plus acupuncture group discontinued treatment due to fear of needle pain.” ⑨両群ともケトプロフェンをレスキューとして使用し、使用量に群間差なし。
  • Ben-Arie E, Kao PY, Lee YC, Ho WC, Chou LW, Liu HP. The Effectiveness of Acupuncture in the Treatment of Frozen Shoulder: A Systematic Review and Meta-Analysis. Evid Based Complement Alternat Med. 2020;2020:9790470.(PMID 33062030/DOI 10.1155/2020/9790470/PMC7532995)13試験(PubMed・Cochrane・Embase・Web of Science。中国語データベースは検索していない)。当サイトの確認=抄録は PubMed XML と PMC で一致(Tier A)、本文の数値は PMC HTML(Tier B)。
  • Results の逐語=”A meta-analysis on VAS pain score showed significant pain reduction, restoring CMS shoulder function, and flexion ROM in favor of acupuncture versus the control. In external rotation and abduction ROM, a meta-analysis was not significant. The most used acupoints are Jian Yu (LI15) and Jian Liao (TB14).”/Conclusions(3文)=”The results indicate that acupuncture could be safe and effective for pain reduction, restoring shoulder function, and restoring flexion ROM for FS patients in the short term and midterm. However, the level of evidence was very low. More high-quality and longer studies are needed in order to robust the evidence.”(当サイトによる訳:VAS 疼痛スコアのメタ解析は、対照と比べて鍼を支持する有意な疼痛軽減、CMS 肩機能の回復、屈曲可動域の回復を示した。外旋と外転の可動域ではメタ解析は有意でなかった。最も使われた経穴は肩髃〈LI15〉と肩髎〈TB14〉だった。/結果は、鍼が凍結肩患者の短期・中期の疼痛軽減、肩機能の回復、屈曲可動域の回復に安全で有効でありうることを示している。しかしエビデンスのレベルは非常に低かった。エビデンスを頑健にするには、より質が高く長期の研究が必要である。)
  • 本文の数値(Tier B)=VAS 0〜12週 “(MD: −1.47; 95% CI: −1.87, −1.07; P < 0.00001; I 2 = 25%)”・4試験・対照は本文に “(PT, sham acupuncture)” と明記。CMS 1.5〜3か月 4.08 [3.36, 4.81](3試験・100点満点)。本文の文=”There is very low evidence that acupuncture has a superior effect on FS when comparing to control interventions.”(当サイトによる訳:対照の介入と比べて鍼が凍結肩により優れた効果を持つという、レベルの非常に低いエビデンスがある。)🛑 評釈:「対照」は理学療法(干渉波・TENS・体外衝撃波・運動)・偽鍼・ステロイド注射・家庭運動・鍼同士の混合で、1つの比較として読めるものではありません。採用13試験のうち Ma 2006 は抄録に無作為化の記載が無く、Asheghan 2016 は対照の内容が抄録から読み取れません。VAS の MD −1.47 は「4試験・対照は理学療法と偽鍼の混合・確実性は非常に低い」と併記してのみ扱います。CMS の 4.08点/100 は小さい差です。
  • Xu B, Zhang L, Zhao X, Feng S, Li J, Xu Y. Efficacy of Combining Acupuncture and Physical Therapy for the Management of Patients With Frozen Shoulder: A Systematic Review and Meta-Analysis. Pain Manag Nurs. 2024;25(6):596-605.(PMID 38991907/DOI 10.1016/j.pmn.2024.06.009)13研究(RCT・準実験・非無作為化を含む)。当サイトの確認=PubMed XML のみ(Tier B)。Results の逐語=”A total of 13 studies were included. The combined approach significantly reduced pain (SMD = -0.891) with considerable heterogeneity (I² = 85.3%) and improved clinical effective rates (OR = 3.693, I² = 0%). Significant improvements were also observed in active and passive range of motion, with varying degrees of heterogeneity.”/Conclusion=”The combination of acupuncture and physical therapy is more effective than physical therapy alone in managing pain, improving clinical effective rates, and enhancing range of motion in patients with frozen shoulder. These findings suggest that incorporating acupuncture into standard rehabilitation protocols could enhance patient outcomes.”(当サイトによる訳:13研究が採用された。併用は痛みを有意に減らしたが〈SMD −0.891〉異質性はかなり大きく〈I²=85.3%〉、臨床有効率も改善した〈OR 3.693、I²=0%〉。自動・他動可動域にも、程度の異なる異質性を伴って有意な改善が見られた。/鍼と理学療法の併用は、痛みの管理・臨床有効率の改善・可動域の向上において理学療法単独より有効である。これらの知見は、鍼を標準的なリハビリに組み込むことが患者の転帰を高めうることを示唆する。)🛑 評釈:SMD −0.891 は信頼区間が抄録に無く、I²=85.3%、非RCT を含む統合です。「臨床有効率」は当サイトが効果の指標として扱わない指標です。採用研究の一覧と国は本文未到達で未取得です。当サイトは結論の「more effective」を、こうした条件を併記せずには引きません。対照の型は日本の実務に最も近い(理学療法に鍼を足すか)のですが、確実性の記載が抄録にありません。
  • ⚠️ 当サイトが数値を載せていない研究:Ma 2006(台湾・75名・理学療法/鍼/併用・PMID 17080543)は抄録に「randomized」の語が無く、RCT として扱いません。Asheghan 2016(イラン・40名・PMID 27698596)は対照の内容と無作為化の有無が抄録から読み取れません。Chandran 2021(インド・60名・PMID 35770597)は遠隔経穴 vs 局所経穴の鍼同士の比較で、「鍼が効くか」には答えません。Heo 2022(電気鍼の系統的レビュー・PMID 36059821・13試験936名)は全試験が中国で、電気鍼 vs 手技鍼の統合値は I²=97% のため引きません。同レビューの抄録の “No adverse effects were reported.” は、本文の “Since 13 of the 14 studies failed to record whether any AEs took place, more studies are needed regarding the safety of EA.” が示すとおり「記録した試験がほぼ無い」の意味です。

注射・神経ブロック・薬と比べると、どう見えるのか

否定側の数値です。省かずに書きます。

神経ブロックと比べた試験=電気鍼だけの群は劣っていた

コクランが採ったもう1本は、台湾の150名の試験です(Lin 1994)。

星状神経節と肩甲上神経のブロックだけ、電気鍼だけ、両方の併用の3群(各50名)に分けました。

併用群が痛みのコントロール・持続時間・可動域のいずれでも最も良く、電気鍼だけの群はブロックだけの群に劣っていました。

1994年の試験で、痛みの尺度は4段階の粗いものです。それでも向きははっきりしています。

2011年の系統的レビュー(Favejee 2011)も、肩甲上神経ブロックのほうが鍼より有効だという中等度の根拠を報告しています。

ステロイド注射と直接比べた試験は、PubMed では見つからなかった

五十肩で鍼とステロイド注射を直接比べた試験は、PubMed 収載のものでは見つかりませんでした。

薬などと比べた2025年のネットワーク解析=痛みの尺度では鍼関連療法が勝っていない

2025年に中国から、84試験7,125名を統計モデルでまとめたネットワークメタ解析が出ました(Ji R 2025)。

複数の鍼関連療法を、理学療法や「西洋医学」(本文に定義なし)と比べたものです。

抄録には、当サイトが2経路で確認した否定側の一文があります。

「痛みの強さ(VAS)については、西洋医学のほうが鍼関連療法よりわずかに大きい疼痛軽減をもたらしたが、差は統計的に有意ではなかった」。痛みの尺度では、鍼関連療法は薬などに勝っていません。

いっぽう結論が挙げる「最も有効に見える」療法の順位は、主要な指標が「総有効率」(決めた基準で有効と判定された人の割合)で痛みの尺度ではないため、当サイトは載せません(理由はエビデンスボックス⑥)。

エビデンスボックス⑥ 注射・神経ブロック・薬と比べた試験とレビューの原文(深く知りたい方向け・飛ばしてOK)
  • Lin ML, Huang CT, Lin JG, Tsai SK. [A comparison between the pain relief effect of electroacupuncture, regional never block and electroacupuncture plus regional never block in frozen shoulder]. Acta Anaesthesiol Sin. 1994;32(4):237-242.(PMID 7894919・中国語・英文抄録)150名・3群(各50名)。電気鍼の経穴=肩髃・肩井・肩内陵・阿是穴。当サイトの確認=PubMed XML(Tier B)。逐語=”The results showed that the combined EAP and RNB method had significant high pain control quality, longer duration, and better range of movement of the shoulder joint than that of EAP or RNB performed alone.”(当サイトによる訳:結果は、電気鍼と局所神経ブロックの併用が、電気鍼単独またはブロック単独よりも、有意に高い疼痛コントロールの質、長い持続時間、良好な肩関節可動域を示した。)評釈:コクランはこの試験の2群(100名)を解析し、30時間後の疼痛で神経ブロックを支持する WMD 1.33(4点満点)を報告しています(ボックス③)。痛みの尺度は Bromage の4段階です。
  • Favejee MM, Huisstede BM, Koes BW. Frozen shoulder: the effectiveness of conservative and surgical interventions–systematic review. Br J Sports Med. 2011;45(1):49-56.(PMID 20647296/DOI 10.1136/bjsm.2010.071431)コクラン5本+RCT 18本。逐語=”Moderate evidence was found … for the effectiveness of SSNB compared with acupuncture, placebo or steroid injections. For other commonly used interventions no or only limited evidence of effectiveness was found. Most of the included studies reported short-term results, whereas symptoms of frozen shoulder may last up to 4 years.”(当サイトによる訳:肩甲上神経ブロックが鍼・プラセボ・ステロイド注射と比べて有効であることについて、中等度のエビデンスが見つかった。他のよく使われる介入については、有効性のエビデンスは無いか限られていた。採用研究の大半は短期の結果を報告しているが、凍結肩の症状は4年まで続くことがある。)⚠️ 鍼単独の評価は名指しされていません。鍼はブロックの比較の相手として登場します。
  • Maund 2012 HTA(ボックス①に書誌)逐語=”steroid combined with physiotherapy was the only treatment showing a statistically and clinically significant beneficial treatment effect compared with placebo for short-term pain (standardised mean difference -1.58, 95% credible interval -2.96 to -0.42)”/Conclusions=”There was limited clinical evidence on the effectiveness of treatments for primary frozen shoulder.”(当サイトによる訳:ステロイドと理学療法の併用は、短期の疼痛についてプラセボと比べて統計的にも臨床的にも有意な有益な治療効果を示した唯一の治療だった〈標準化平均差 −1.58、95%信用区間 −2.96〜−0.42〉。/一次性凍結肩の治療の有効性に関する臨床的エビデンスは限られていた。)🛑 鍼の個別の結果は抄録に無く、本文(264ページ)は未取得です。
  • Ji R, Huang W, Weng M, Zhang M. Comparative effectiveness of acupuncture-related therapies for frozen shoulder: a systematic review and network meta-analysis. Front Med (Lausanne). 2025;12:1673193.(PMID 41384127/DOI 10.3389/fmed.2025.1673193/PMC12689596/CRD42024610867)84 RCT・7,125名・17介入(CNKI・万方・VIP・CBM を含む。”most of the included studies were conducted in China”)。当サイトの確認=VAS の1文は PubMed XML と PMC で一致(Tier A)、他は Tier B。
  • 逐語=”Concerning pain intensity, assessed by the Visual Analogue Scale (VAS), Western medicine provided slightly greater pain reduction than acupuncture-based interventions, though the differences were not statistically significant.”/”Adverse events were infrequent and generally mild, occurring less often in acupuncture-related therapies than in control groups. Across outcomes, the certainty of evidence ranged from low to moderate.”/結論の最後の1文=”Acupuncture-based therapies are generally safe, but the overall evidence is of moderate-to-low certainty, warranting further high-quality, multicenter trials.”/本文(Tier B)=”the overall methodological quality was generally low”(当サイトによる訳:VAS で評価した痛みの強さについては、西洋医学のほうが鍼関連療法よりわずかに大きい疼痛軽減をもたらしたが、差は統計的に有意ではなかった。/有害事象はまれで概して軽度であり、鍼関連療法のほうが対照群より少なかった。アウトカム全体で、エビデンスの確実性は低〜中等度だった。/鍼関連療法は概して安全だが、全体のエビデンスは中〜低の確実性であり、さらに質の高い多施設試験が必要である。/方法論的な質は全体として概して低かった。)
  • 🛑 評釈:抄録の結論の1文目は、小針刀・関節モビライゼーション+温鍼灸・推拿+鍼を「最も有効に見える」と挙げていますが、その主要アウトカムは「総有効率」「顕効率」です。当サイトは順位(SUCRA)と有効率の RR を載せません。「西洋医学」「理学療法」の中身の定義は本文にありません。中国側の研究者による方法論研究(Luo Z 2025・PMID 41261556)も、凍結肩の鍼灸の系統的レビューについて “the control groups were set up outside of standardization, and the methodological quality was lower.”(当サイトによる訳:対照群の設定は標準化の外にあり、方法論的な質はより低かった。) と書いています。
  • ⚠️ 当サイトが数値を載せていないレビュー・試験:Yang C 2018(条口 ST38 の系統的レビュー・PMID 29849707・19 RCT・1,944名)は “All of the included trials were in Chinese, and all were conducted in China.” で、主要指標が総有効率、漏斗図が非対称のため、存在のみ紹介します。Ji L 2015(中国・132名・PMID 26640496)は鋒鉤鍼+経穴注射の複合介入で対照が特定できません。Koh 2013(韓国・68名・蜂毒薬鍼・PMID 23352187)と Kim D 2024(韓国・50名・薬鍼・PMID 39224580)は薬液を注入する薬鍼で、鍼として扱いません。Tas-Cebe 2013(英国・20名・注射 vs 鍼 vs 家庭運動)は PubMed 未収載誌で原著未確認です。

学会は、五十肩の鍼をどう扱っているか

「学会はどう言ってるんですか」と聞かれたときに困る章です。

先に言うと、英国・米国・韓国の指針では「効果が不明」か「推奨項目に無い」のどちらかです。中国の伝統医学の指針は鍼を含む推奨を出していますが、その大半は弱い推奨か専門家の合意です。「推奨しない」と明記した文書は、当サイトが読めた範囲にありません。

英国=「効果不明」に分類(2015年)、改訂版では言及なし(2025年)

英国肘肩関節学会(BESS)と英国整形外科学会(BOA)の2015年の患者ケアパスウェイは、薬以外の治療の表で鍼を「効果不明(Unknown effectiveness)」に分類しています。

本文にも「凍結肩の治療における鍼の役割は明確でない。利用できるエビデンスは明確な利益を示していない」の2文があります。表と本文をセットで読んでください。「推奨しない」とは書かれていません。

2025年の改訂版には、鍼という語が本文に出てきません(機械検索で確認。削られたかどうかまでは分かりません)。

米国=推奨項目に鍼は無いが、電気鍼の試験は本文で紹介

米国理学療法士協会(整形外科部会)の2013年の診療ガイドラインは、推奨項目にステロイド注射・患者教育・物理療法・関節モビライゼーション・ストレッチなどを挙げ、鍼を含む推奨文はありません。

いっぽう物理療法の節では、先ほどの香港の試験(Cheing 2008)を Level II の根拠として紹介しています。「推奨項目に無い」と「推奨しない」は別です。

韓国・中国・日本

韓国のリハビリテーション医学会の2025年の指針にも鍼の推奨文はなく、鍼の語は参考文献2か所に出るだけです。

中国の伝統医学の指針(2023年)は鍼を含む12の推奨を出していますが、抄録によれば大半は弱い推奨か専門家の合意で、鍼の推奨の強さは本文を確認できていません。

日本には、日本整形外科学会・日本肩関節学会・日本リハビリテーション医学会の五十肩(凍結肩)の診療ガイドラインそのものが、当サイトの検索では見つかりませんでした。

そのため「日本のガイドラインは鍼に触れていない」とも言えません。

エビデンスボックス⑦ 学会文書の書誌と、確認できた範囲(深く知りたい方向け・飛ばしてOK)
  • Rangan A, Goodchild L, Gibson J, Brownson P, Thomas M, Rees J, Kulkarni R. Frozen Shoulder. Shoulder Elbow. 2015;7(4):299-307.(PMID 27582992/DOI 10.1177/1758573215601779/PMC4935124)BESS/BOA 患者ケアパスウェイ。当サイトの確認=PMC 本文を編集長が直接取得し、表と本文を逐語で確認(Tier A)。表=”Unknown effectiveness Acupuncture. Electrical stimulation.”/本文=”The role of acupuncture in treatment of frozen shoulder is not clear. Available evidence does not demonstrate clear benefit.”(当サイトによる訳:効果不明=鍼、電気刺激。/凍結肩の治療における鍼の役割は明確でない。利用できるエビデンスは明確な利益を示していない。)/推奨経路=一次医療で鎮痛薬・ステロイド注射・家庭運動・理学療法、約3か月で反応不十分なら二次医療。”Shared decision-making is important, and individual patients’ needs are different.” ⚠️ 本文の長期予後の数値(59%/35%/6%)は Hand 2008 の引用と推定されますが、当サイトは照合していません。
  • Rupani N, Gwilym SE; BESS Frozen Shoulder Working Group. British Elbow and Shoulder Society patient care pathway: Frozen shoulder. Shoulder Elbow. 2025;17(4):351-363.(PMID 40291049/DOI 10.1177/17585732251335955/PMC12018368)当サイトの確認=PMC 本文で “acupunct” の出現0件(編集長が機械検索)。定義=”a painful debilitating condition with insidious onset, typically leading to stiffness and disability in the shoulder, which lasts over 3 months.”/”Frozen shoulder is a self-resolving pathology.”(当サイトによる訳:緩やかに発症し、典型的には肩のこわばりと機能障害に至る、3か月を超えて続く、痛みを伴い生活を妨げる病態。/凍結肩は自然に軽快する病態である。評釈:この「自然に軽快する」は本文書の記述で、当サイトは H2②の両論と併せて読みます。)推奨=関節内ステロイド注射・高容量注射・理学療法・授動術・関節鏡下関節包解離、病期別ではなく共同意思決定。
  • Kelley MJ, ほか. JOSPT 2013(ボックス①に書誌)当サイトの確認=PDF を目視(A1〜A5・A16〜A26。A6〜A15 は未走査・Tier B)。Summary of Recommendations(A26)の介入=Corticosteroid injections(A)/Patient education(B)/Modalities(C)=”Clinicians may utilize shortwave diathermy, ultrasound, or electrical stimulation combined with mobility and stretching exercises”/Joint mobilization(C)/Translational manipulation(C)/Stretching exercises(B)。Modalities の節(A20)=”Cheing and colleagues designed a study in which 70 patients with frozen shoulder were randomly assigned to receive electroacupuncture plus exercise, interferential electrotherapy plus exercise, or no treatment for 4 weeks. … After the intervention, both treatment groups improved significantly on the Constant-Murley assessment score and the pain VAS, whereas the control group did not change. These differences were maintained at the 6-month follow-up, with no significant differences noted between the 2 intervention groups.”(Level II・目視転記。当サイトによる訳:Cheing らは凍結肩の70名を、電気鍼+運動、干渉波+運動、4週間の無治療に無作為に割り付けた。〈中略〉介入後、両治療群は Constant-Murley スコアと疼痛 VAS で有意に改善したが、対照群は変化しなかった。この差は6か月の追跡でも維持され、2つの介入群の間に有意差は認められなかった。)。2011年9月までの文献に基づく版で、2025年の改訂版は当サイトの検索では見つかりませんでした。評釈:当サイトはこの指針を「鍼を推奨しない指針」とは書きません。
  • Lee BC, ほか. Clinical Practice Guidelines for Diagnosis and Non-Surgical Treatment of Primary Frozen Shoulder. Ann Rehabil Med. 2025;49(3):113-138.(PMID 40602400/DOI 10.5535/arm.250057/PMC12231400)当サイトの確認=PMC XML で “acupunct” は参考文献2か所のみ(編集長が機械検索)=Tas-Cebe 2013 がステロイド注射の節の引用群の1本として引かれているだけで、鍼の推奨文は無い。自然経過=”The natural course of a frozen shoulder is generally self-limiting; however, not all patients achieve complete spontaneous recovery”/”secondary frozen shoulder was excluded from the guidelines”(当サイトによる訳:凍結肩の自然経過は概して自然に軽快するが、すべての患者が完全な自然回復に至るわけではない。/二次性凍結肩は本指針の対象から除外した。)。⚠️ 韓医学(韓方)側の文書は未検索です。
  • Qin X, ほか. Traditional Chinese medicine for frozen shoulder: An evidence-based guideline. J Evid Based Med. 2023;16(2):246-258.(PMID 37020403/DOI 10.1111/jebm.12530)抄録の逐語(Tier B)=”This guideline panel made twelve recommendations, which covered the use of manual therapy, acupuncture, needle knife, Cheezheng Xiaotong plaster, Gutong plaster, exercise therapy and integrated TCM and Western medicine, such as combined modalities and corticosteroid injections. Most of them were weakly recommended or consensus based.”(当サイトによる訳:本指針パネルは、徒手療法・鍼・小針刀・2種の貼付剤(Cheezheng Xiaotong plaster・Gutong plaster)・運動療法、および併用療法やステロイド注射などの中西医結合の使用を扱う12の推奨を作成した。その大半は弱い推奨か合意に基づくものである。)🛑 鍼の推奨の強さ・確実性は本文未到達(出版社サイトに到達できず)。当サイトは「鍼を推奨している」とは書きません。
  • Hanchard NC, ほか. Evidence-based clinical guidelines for the diagnosis, assessment and physiotherapy management of contracted (frozen) shoulder: quick reference summary. Physiotherapy. 2012;98(2):117-120.(PMID 22507361)英国理学療法士協会。要約ページ(1パス)は “standard physiotherapy” に焦点を絞ると明記しており、追加研修が要る介入は対象外です。本文未到達。「鍼に触れていない」とは書きません。
  • Salamh P, ほか. Quality of clinical practice guidelines for frozen shoulder: a systematic review. Physiother Theory Pract. 2025;41(7):1495-1502.(PMID 39497330)38,428件から診療ガイドラインは2本だけが残り、”there is a critical need for an up to date, evidence informed, high quality CPG”(当サイトによる訳:最新でエビデンスに基づく質の高い診療ガイドラインが切実に必要である。)。鍼固有の記述はありません。評釈:凍結肩の質の高い診療ガイドライン自体が世界的に乏しい、という根拠です。
  • 日本=日本整形外科学会・日本肩関節学会・日本リハビリテーション医学会の五十肩(凍結肩)診療ガイドラインは、Web 検索と J-STAGE で見つかりませんでした。🛑 「日本のガイドラインに鍼の推奨記載が無い」と読める書き方はしていません。ガイドライン自体が見つからないためです。
  • ⚠️ 当サイトが本文を確認していない文書:米国整形外科学会(AAOS)の五十肩の診療ガイドラインは見つかりませんでした(Web 検索のみ)。

日本で行われた五十肩の鍼治療の研究は、どこまであるのか

海外の話が続きました。では日本は。当サイトの検索では試験は見つからず、あるのは症例の報告と講演録です。ただしその症例報告のなかに、固まった肩は鍼だけでは動きにくい、という趣旨を日本の鍼灸師自身が書いた一文があります。患者さんへの答え方に直結するので、そこまで読んでください。

日本で行われた五十肩の鍼灸のランダム化比較試験は、当サイトの検索では見つかりませんでした(医中誌Web・CiNii は未検索)。あるのは症例集積と症例報告、そして大学病院の鍼灸外来の講演録です。

1996年の症例集積=「一時的な軽減」と「効かなかった人は脱落」

全日本鍼灸学会雑誌に、五十肩21例の症例集積があります(堀 1996)。経過中に15例(71%)の自覚症状が改善した、と報告されています。

ただしこの抄録は、結論の前に2つの事実を置いています。

痛みの軽減は「一時的(数時間〜数日間)」だったこと。痛みが軽減しなかった症例は脱落する傾向があったこと。

そのうえで「疼痛の軽減に対して効果的であった」「運動療法の併用により、拘縮予防に役立つ期待がもたれた」と結んでいます。対照群はなく、71%は通い続けた人の中の割合です。

「拘縮は鍼だけでは動きにくい」と、日本の鍼灸師自身が書いている

2001年の症例報告(宮山 2001)は、拘縮のない痛みの時期の症例は痛みが早期に改善した一方、拘縮が進んだ時期の拘縮は鍼灸単独では効果が得られにくかった、運動療法を併用したところ改善した、という順で書いています。

2020年の症例報告(鈴木 2020)も、「拘縮そのものは鍼通電療法のみでの対応は困難」で、関節モビライゼーションの併用が効果的だったと考察しています。1例で、自然経過とは区別できません。

「鍼だけで固まった肩が動く」という説明は、日本の症例報告2件が支持していません。どちらも、運動やモビライゼーションを併用して改善した、と書いています。大学病院の講演録(山口 2022)は鍼通電が可動域の改善にも有用と「考えている」と書いていますが、専門家の意見で、対照のある試験ではありません。

痛みの軽減を目標に、運動と組み合わせる。日本語の資料から読めるのは、この形です。

大学病院の鍼灸外来の実務

埼玉医科大学の鍼灸外来の教育講演(山口 2022)は、鍼通電を組織選択的に行い、周波数は1Hz を主に使うと書いています。

ただし専門家の意見で、この講演の「肩関節周囲炎」は腱板炎などを含む広い意味です(H2①)。

エビデンスボックス⑧ 日本の研究について確認できたこと(深く知りたい方向け・飛ばしてOK)
  • 堀紀子, 山下仁, 津嘉山洋, 坂井友実, 西條一止. 五十肩に対する鍼治療の効果. 全日本鍼灸学会雑誌. 1996;46(4):340-344.(DOI 10.3777/jjsam.46.4_340)症例集積・21例。抄録の逐語(J-STAGE・研究者と編集長が同じ J-STAGE の別抽出で一致=Tier B)=「1) 21例の五十肩の症例が集積された。2) 鍼治療経過中に15例 (71%) の自覚症状が改善した。3) 鍼治療後に運動時痛の67%、安静時痛の44%、夜間痛の56%で一時的軽減 (数時間~数日間) を認めた。4) 治療後に疼痛軽減が得られなかった症例は、脱落する傾向がみられた。五十肩に対する鍼治療は、疼痛の軽減に対して効果的であった。また、運動療法の併用により、拘縮予防に役立つ期待がもたれた。」🛑 評釈:結論文の前に「一時的軽減」「脱落傾向」が置かれた構造です。当サイトは結論文だけを引きません。対照なし・21例。
  • 宮山忠彦, 安野富美子, 封木麻里, ほか. 五十肩に対する鍼灸治療の2症例. 全日本鍼灸学会雑誌. 2001;51(5):617-622.(DOI 10.3777/jjsam.51.617)症例報告・2例。抄録の逐語=「狭義の五十肩のうち、拘縮が無く疼痛が見られるfreezing phaseにあたる症例と、拘縮が進行したfrozen phaseにあたる症例を経験した。(中略)freezing Phaseにおける疼痛は早期に改善した.frozen phaseにおける拘縮は、鍼灸単独では効果が得られにくかった。運動療法を併用したところ、拘縮に伴う苦痛が軽減し、効果的な改善を得た。」(「(中略)」は原文の抄録にある表記。表記の乱れは J-STAGE 側のまま)評釈:「鍼灸単独では効果が得られにくかった」→「運動療法を併用したところ改善」の順を崩さずに引いています。
  • 鈴木博, 徳竹忠司, 緒方昭広. 肩関節周囲炎に対する鍼治療と手技療法を併用した1症例. 日本東洋医学系物理療法学会誌. 2020;45(2):57-62.(DOI 10.32255/jjsop.45.2_57)60歳女性・1例。【結果】の逐語=「3 診目以降 VAS の減少と共に肩関節の可動域改善がみられ、治療開始後 3 ヶ月目(13 診)では VAS:7.0㎜、ROM:外転 140°、屈曲 145°、25 診目では VAS: 1.0㎜、ROM:外転 168°、屈曲 161°となった。」/【考察】の逐語=「肩関節周囲組織は結合組織によって構成されるため、拘縮そのものは鍼通電療法のみでの対応は困難である。そのため、関節モビライゼーションの併用が効果的であり、結果的に ADL 改善を図ることができると考える。」(文末まで。編集長が J-STAGE で2026-09-12 に確認)刺鍼部位=棘下筋・大円筋・大胸筋鎖骨部・僧帽筋上部(鍼通電)。1例・対照なし。ADL 改善は著者の考察で、測定された指標は VAS と可動域です。
  • 山口智. 2022(ボックス①に書誌)逐語=「鍼通電療法は、肩関節周囲炎の疼痛の緩解や ROM の改善に有用な治療方法と考えている。筆者は肩関節周囲炎に対する鍼通電療法は組織選択性を基本に実施している。(中略)周波数は、低頻度である1Hz を臨床でよく活用しているが靭帯や関節包に対する刺激は高頻度(60Hz または 100Hz)で実施することもある。」(「(中略)」は当サイトによる省略)評釈:「有用と考えている」は専門家の意見(エビデンスレベル5相当)で、対照のある試験ではありません。靭帯や関節包には60〜100Hz を使うこともある、という実務の型がここに書かれています。
  • ⚠️ 当サイトが数値を載せていない日本語文献:坂井 1997(日本温泉気候物理医学会雑誌・41例・病期別)と小田原 1981(日本鍼灸治療学会誌・251例・ペインクリニックの後ろ向き調査)は、抄録の逐語を取得できておらず(要約のみ)、数値を出していません。徳竹 2020(日本東洋医学系物理療法学会誌・78歳男性)は腱板断裂術後の拘縮で、一次性の五十肩ではありません。
  • 検索の範囲:J-STAGE API(「五十肩 鍼」上位50/「肩関節周囲炎 鍼」50/「凍結肩 鍼」14件全件/「肩関節周囲炎 鍼 無作為」39件・上位30)と PubMed の母集団160件の日本の著者。医中誌Web・CiNii は未検索。全日本鍼灸学会の学術大会の一般演題は個別に展開していません。「存在しない」ではなく「この範囲で見つからなかった」です。

四十肩・五十肩の鍼治療は、何回くらい・どのくらいの期間か

「何回通えばいいですか」。四十肩・五十肩の患者さんからいちばん聞かれる質問ですよね。

先に答えます。回数を無作為に比べた試験は、五十肩では見つかりませんでした。「何回で効く」という根拠は出せません。

書けるのは、試験がどんな回数と期間で組まれていたか、です。

台湾の偽鍼対照の試験は18回を6〜9週、香港の無治療対照の試験は10回を4週、運動に鍼を足した試験は12回を6週、インドの試験(鍼同士を比べたもの)は12回を4週。

週2〜3回を4〜9週、合計10〜18回が試験の型で、追跡は最長6か月でした。

これは「効く回数」ではなく、設計者が決めた回数です。

現場では、「何回で見直すか」を最初に決めて共有する運用をおすすめしています。

回数の考え方は肩こりへの鍼の頻度|「週何回」の根拠を一次資料までたどるで一次資料まで遡っており、結論は五十肩と同じで「回数を比べた試験は無い」でした。

エビデンスボックス⑨ 試験で用いられた回数・期間・電気鍼の有無(深く知りたい方向け・飛ばしてOK)
  • Lo 2020(台湾・21名・ボックス④)=18回/約6〜9週・電気鍼+リハビリ・追跡1・3・6か月(Tier A)。経穴は本文未到達。
  • Cheing 2008(香港・70名・ボックス⑤)=10回/4週・電気鍼+運動・追跡6か月(Tier A)。経穴は抄録に無い。
  • Sun 2001(香港・35名・ボックス⑤)=週2回×6週=12回・手技鍼(対側下腿の奇穴1穴・6.35cm 深刺・置鍼20分)・追跡20週(本文目視・Tier B)。
  • Schröder 2017(ドイツ・60名・ボックス④)=無作為化された比較は円皮鍼1回の即時効果。その後のオープン追跡は古典的鍼10回/10週(Tier B・割付方法不明)。
  • Chandran KP, Chandran PP, Arumugam N, Muthappan S. Effect of Remote and Local Acupuncture Points on Periarthritis of Shoulder: A Comparative Study. J Acupunct Meridian Stud. 2021;14(1):13-20.(PMID 35770597/DOI 10.51507/j.jams.2021.14.1.13)インド・60名・12回/4週(隔日・20分)・遠隔経穴 vs 局所経穴(Tier B)。鍼同士の比較で、「鍼が効くか」には答えません。
  • Liu C, ほか. Efficacy and safety of 2 Hz versus 100 Hz electroacupuncture for pain-dominant shoulder periarthritis: a study protocol for a single-center randomized controlled trial. Front Med (Lausanne). 2026;13:1924469.(PMID 42724061/DOI 10.3389/fmed.2026.1924469)中国・152名予定・10回(連日5回×2クール)・2Hz vs 100Hz。プロトコルのみで結果はありません。
  • 🛑 評釈:回数を無作為に比べた試験は五十肩では見つかりませんでした。上の回数は試験の設計であって、効果が出る回数でも推奨回数でもありません。小田原 1981(DOI 10.11525/jjsam1955.30.129)の回数別の有効率は逐語未取得のため載せていません。

肩まわりの刺鍼で、気胸をどう避けるか

「鍼って痛いんですか」「危なくないんですか」。五十肩の患者さんの不安は、この2つに集約されます。

そして、この記事でいちばん重い話。気胸です。

五十肩で刺鍼することが多い肩上部・肩甲部・肩前面は、肺の上にあります。

学会のガイドラインは「義務」の水準で書いている

全日本鍼灸学会の『鍼灸安全対策ガイドライン2025年版(改訂第2版)』は、気胸を独立した項目に格上げしました。

冒頭は、発生頻度は極めて低いとしたうえで、国内では毎年のように報告があり死亡例も含まれる、ゆえに最も注意すべき有害事象である、という順です。

注意事項の1番目は、こう書かれています。

出所:坂本歩(監修), 公益社団法人全日本鍼灸学会 臨床情報部 安全性委員会(編). 鍼灸安全対策ガイドライン2025年版(改訂第2版). 医歯薬出版; 2025. p.35「気胸(血胸を含む)」注意事項1(当サイトが無償公開PDFのページ画像を目視で転記。編集長が同じPDFで再確認)
「1. 気胸予防の観点から、肩背部および胸部(以下、胸郭周囲)への刺鍼は、局所解剖および安全深度を十分理解した上で慎重に行わなければならない。」

このガイドラインは語尾で推奨の強さを区別していて、「しなければならない」は「義務」、「するべきである」は「強い」、「注意が必要である」は「弱い」です。

胸郭周囲への刺鍼は、「義務」に当たる語尾で書かれています。

続く注意事項は、体格を考慮して深刺と粗雑な手技を避けること、施術後に胸痛や息苦しさを訴えたら速やかに医療機関を受診させること、呼吸困難を強く訴えたら最悪の事態を想定して救急搬送を要請すること、です(図解③)。緊張性気胸や両側性気胸では急速に悪化し死に至る危険がある、とも書かれています。

なお当サイトが読んだ範囲に、肩井などの経穴名は出てきません。「特定の経穴を禁じている」とは書けません。

図解:肩まわりの刺鍼について、鍼灸安全対策ガイドライン2025年版の気胸の項にある4つの注意事項を、当サイトの言い換えで4段のカードに並べた図

鍼灸安全対策ガイドライン2025(気胸の項)

肩まわりに刺すときの4つの注意

1番目と2番目の後半は「しなければならない」=ガイドラインの語尾表で「義務」、3・4番目と2番目の前半は「するべきである」=「強い」に当たる表現です。

  • 1
    【義務】肩背部・胸部(胸郭周囲)への刺鍼は、局所解剖と安全深度を十分に理解したうえで慎重に行う
  • 2
    【強い/後半は義務】体格を考慮し、深刺と粗雑な手技を避ける(強い)。肋間への刺鍼では肋間動静脈の走行を理解したうえで安全に行う(義務)
  • 3
    【強い】施術後に胸痛・息苦しさを訴えたら、速やかに医療機関を受診させる
  • 4
    【強い】呼吸困難を強く訴えたら、最悪の事態を想定して速やかに救急搬送を要請する(緊張性・両側性・血気胸は急速に悪化し死に至る危険がある)
国内の気胸の報告と、推定頻度の出どころ

国内の報告=2020〜2024年の5年間で文献10件・症例24例(会議録を含む。2022年分の14例は2007〜2022年の集計を含むため、年あたりの件数としては読めません)。推定頻度「0.001%程度」は全部位を合わせた値で、ガイドラインが海外の多施設前向き調査を引いたもの

模式図です。4段はガイドライン p.35 の注意事項1〜4を当サイトが言い換えたもので、逐語ではありません(1番目の逐語は本文の引用ブロックにあります)。GL の語は「胸郭周囲(肩背部および胸部)」で、「肩まわり」は当サイトの言い換えです。ガイドラインは特定の経穴名を挙げていません(当サイトが読んだ範囲)。「まれ」は「ゼロ」ではなく、国内では毎年のように報告があります。推定頻度「0.001%程度」は全部位を合わせた値で、ガイドラインが海外の多施設前向き調査(Witt 2009・Bäumler 2021)を引いたものです。当サイトは原著を照合していません。頸・肩・胸郭部への刺鍼に限った1994年の単施設の報告(古東 1994)では、6年8か月で749例中4例(0.53%)でした。五十肩だけの数字ではありません。出所=鍼灸安全対策ガイドライン2025年版(改訂第2版)p.35/菅原 2025(DOI 10.3777/jjsam.75.416)表1/古東 1994(DOI 10.3777/jjsam.44.233)。カードの構成は当サイトが組み直したもので、原典にこの図はありません。

頻度の数字は、どれを使うか

ガイドラインが引く多施設前向き調査の推定値は0.001%程度です。

ただしこれは海外の多施設調査からの引用で当サイトは原著を照合しておらず、全部位を合わせた数字と読めます。

頸・肩・胸郭部に限った国内の数字は、古くて小さな調査になります。

1994年の単施設の報告(古東 1994)は、頸・肩・胸郭部への刺鍼749例のうち4例(0.53%)に気胸が起きたと報告しています。

改訂の解説(菅原 2025)の表では、国内の気胸の報告は2020〜2024年の5年間で文献10件・症例24例(会議録を含み、2022年分は2007年以降の集計を含むため、年あたりの数としては読めません)です。

桁が違うのは、母数の取り方が違うからです。

肩まわりの施術を説明するときは、全部位の0.001%だけを使わないでください。「まれ」は「ゼロ」ではありません。

なお海外のレビューの「有害事象は報告されなかった」も、そのまま安全の根拠にはなりません。電気鍼のレビュー(Heo 2022)は本文を読むと14試験中13試験が有害事象を記録しておらず、記録が無いことと起きなかったことは違います。

痛みについては、刺鍼時の一時的な痛みや軽い内出血が起こりうること、鍼が怖くて中止した参加者が試験にもいたことを、正直に伝えてください。

エビデンスボックス⑩ 安全性の一次資料(深く知りたい方向け・飛ばしてOK)
  • 坂本歩(監修), 公益社団法人全日本鍼灸学会 臨床情報部 安全性委員会(編). 鍼灸安全対策ガイドライン2025年版(改訂第2版). 東京: 医歯薬出版; 2025.(無償PDF=https://safety.jsam.jp/img/file.pdf ・73ページ・改訂第2版 修正版 Ver.1.1)当サイトの確認=研究担当がページ画像を目視転記し、編集長が同じPDFで p.35 の冒頭段落と注意事項1〜4、p.13〜14、語尾表、奥付を再確認(同一文書の2回の目視=Tier B)。奥付・序に転載禁止・AI利用制限の表示は見当たりませんでした。当サイトが逐語で引くのは、p.35 の冒頭段落と注意事項1の2か所のみです。他は言い換えで紹介しています。
  • p.35 冒頭段落の逐語=「多施設前向き調査によると、鍼施術による気胸の発生頻度は極めて低く、そのリスク推定値は 0.001%程度とされている。[1,2] しかしながら、鍼施術に関連した気胸は、国内で毎年のように報告されており、死亡例も含まれる。[3-7] ゆえに気胸は、鍼施術を行う上で最も注意すべき有害事象である。」(引用文献[1]=Witt CM ほか. Forsch Komplementmed. 2009;16(2):91-97/[2]=Bäumler P ほか. BMJ Open. 2021;11(9):e045961。🛑 0.001% はガイドライン内の引用で、当サイトは原著を照合していません。評釈:「極めて低い」→「しかしながら毎年報告・死亡例」→「ゆえに最も注意すべき」の順で書かれており、当サイトは1文目だけを引きません。
  • 注意事項1の逐語=本文の引用ブロックのとおり(「1. 気胸予防の観点から、肩背部および胸部(以下、胸郭周囲)への刺鍼は、局所解剖および安全深度を十分理解した上で慎重に行わなければならない。」)。引用文献は[3-7]で、[7]は下記の古東 1994 です。
  • 注意事項2〜4(当サイトの言い換え・逐語ではありません。語尾はガイドラインの原文のものを括弧で示します)=2. 胸郭部に刺すときは患者の体格を考えに入れ、深く刺すことと粗い手技を避ける(原文の語尾は「べきである」=強い)。刺鍼で肋間動脈を傷つけて血胸になった報告があるため、肋間に刺すときは肋間の動静脈の走行を理解して行う(「しなければならない」=義務)。/3. 胸郭周囲に刺したあとに患者が胸の痛みや息苦しさを訴えたら、すぐに医療機関を受診させる(「べきである」=強い)。/4. 緊張性気胸・両側性気胸・血気胸は急に悪化して命に関わることがあるので、患者が強い呼吸困難などを訴えたら、最悪の事態を想定してすぐに救急搬送を要請する(「べきである」=強い)。評釈:注意事項2〜4の語尾のうち、2の後半だけが「義務」で、他は「強い」です(注意事項1は「義務」)。
  • p.14「注意すべき部位」(当サイトの言い換え)=鎖骨上窩は鎖骨下動脈と肺の損傷に、胸郭周囲は肺や心臓などの胸腔内臓器の損傷と胸骨裂孔の存在に注意する、と列挙されています。冒頭には、解剖を熟知したうえで、患者の体格に応じて刺鍼の角度や深さを決める、という趣旨の文があります。
  • 語尾表(p.7・目視)=「しなければならない」=義務/「してはならない」=より強い/「するべきである」「するべきではない」=強い/「推奨される」「推奨されない」=やや強い/「注意が必要である」=弱い。
  • 🛑 評釈:当サイトが読んだページ(表紙〜目次・p.13〜15・p.34〜37・p.60〜63・奥付)の範囲に、肩井・肩外兪・膏肓などの経穴名はありません。全文検索はしていません。安全深度の具体値は補助教材『鍼灸安全対策マニュアル』(2024年)に委ねる旨が序にあり、当サイトはその教材を読んでいません。
  • 菅原正秋, 山崎寿也. 鍼灸安全対策ガイドライン2025年版(改訂第2版)の主な改訂のポイント. 全日本鍼灸学会雑誌. 2025;75(4):416-421.(DOI 10.3777/jjsam.75.416)逐語=「「Ⅳ.有害事象防止対策」においては、気胸(血気胸を含む)を臓器および神経損傷から独立した項目とし、注意喚起をおこなうこととした。」/「気胸は、多くの報告(表1)がなされている様に、詳細な実数は不明であるが多数発生していると考えられる。」表1(目視)=国内の文献数 2020:2/2021:3/2022:3/2023:1/2024:1=計10、症例数 2/3/16/2/1=計24(注「2022年の国内14症例は2007-2022年のデータを含む」「国内は会議録も含む」)/海外=文献13・症例14。評釈:「5年間で24症例」は会議録を含み、2022年分は2007〜2022年の集計を含むため、年あたりの発生数としては読めません。
  • 古東司朗, 中本和夫. 鍼治療により発生した気胸. 全日本鍼灸学会雑誌. 1994;44(3):233-237.(DOI 10.3777/jjsam.44.233)逐語=「今回の当院における調査の結果, 6年8ヵ月の間に頸, 肩, 胸郭部の施鍼によって749例中4例 (0.53%) に気胸が発生していることが分かった。その内の3例は入院治療を行った。」/「雀啄をしたり, パルス電流を流したり, 保温の毛布をかけるときには鍼が深くならぬように配慮する。」評釈:単施設・1994年・頸/肩/胸郭部を合わせた母数です。五十肩だけの数字ではありません。うち3例は入院でした。
  • Chiu 2023(当サイトの文献在庫 L234・Medicina. 2023;59(6):1100・PMID 37374304)逐語=”Acupuncture around the neck or shoulder may be a risk factor for pneumothorax.”(当サイトによる訳:頸や肩まわりの鍼は気胸の危険因子でありうる。)
  • 恒松美香子, 池宗佐知子, 菅原正秋. 鍼灸師養成学校における気胸事故予防教育についての現状調査. 日本東洋医学系物理療法学会誌. 2025;50(2):189-196.(DOI 10.32255/jjsop.50.2_189)71校回答。逐語=「実技では「肩背部、胸部など、肺が深部に存在する部位への刺鍼がある時は注意喚起をしている。」を回答した養成校が69校と最も多かった。」/「教育に費やす内容や時間は、養成校間でばらつきがあり、教育の一貫性には課題が残ると考えられる。」
  • 試験側の有害事象=CD005319(ボックス③)”There was no difference in adverse events related to acupuncture when compared to placebo, however this was assessed by only one trial”/”Little is known of the potential for adverse effects.”(当サイトによる訳:プラセボと比べて鍼に関連する有害事象に差は無かったが、これは1試験でしか評価されていない。/有害事象の可能性についてはほとんど分かっていない。)/Sun 2001=鍼関連の合併症なし、鍼の痛みへの恐れで1名が中止/Heo 2022(ボックス⑤)=抄録 “No adverse effects were reported.” に対し本文 “Since 13 of the 14 studies failed to record whether any AEs took place”(当サイトによる訳:14試験中13試験が有害事象の有無を記録していなかったため)/Ji R 2025(ボックス⑥)=”Adverse events were infrequent and generally mild”(84試験・中国中心)。🛑 評釈:当サイトは「安全」「副作用なし」と地の文で書いていません。コクランも有害事象の可能性についてはほとんど分かっていない、と書いています。

明日から使える|五十肩の鍼の説明トーク例と、自院サイトの書き方

ここまでを、そのまま口に出せる形にします。共通しているのは「盛らない」ことです。

① 「五十肩は放っておけば良くなるって聞いたんですが」と言われたとき
「半分は本当で、半分は注意が要ります。自然に良くなる方が多いという報告はあります。ただ、数年たっても何らかの症状が残った方が4割いた、という報告もあるんです。それに、良くなるまでの期間は、報告によって平均1年3か月から2年半と長い。その間の夜の痛みや動かしにくさは別の問題です。
まだ整形外科で診てもらっていなければ、一度診てもらってください。腱板の損傷や糖尿病などに伴う肩の固さもあって、その見分けは私にはできないので。そのうえで、痛みの時期をやわらげる目的で鍼を使うかどうか、一緒に考えましょう。」

② 「鍼で固まった肩は動くようになりますか?」と聞かれたとき
「正直にお伝えしますね。固まった肩を鍼だけで動かす、という材料は私も持っていません。日本の鍼灸師の症例報告でも、拘縮そのものは鍼だけでは動きにくく、運動と組み合わせて改善した、と書かれています。海外の研究で鍼を足した群が良かったのも、運動をしながら鍼を足した場合です。本物そっくりのニセの鍼と比べた21人の小さな研究では、肩の機能の点数に差は認められませんでした。腕の上がる角度は本物の群のほうが良かったと報告されていますが、人数が少なく、それだけで決められる話ではありません。
なので、こちらで目標にするのは、痛みをやわらげて動かしやすくすることです。動かす練習は毎日ご自身でしていただく前提で、何回か続けて見直しましょう。」

③ 肩まわりに刺す前の、リスクの説明
「肩の上や肩甲骨まわりの下には肺があります。そこに鍼が届いてしまう気胸という事故が、国内では毎年のように報告されています。ごくまれですが、ゼロではありません。だから体格に合わせて浅く、角度に気をつけて刺します。
施術のあとに胸が痛い、息が苦しいと感じたら、我慢せずにすぐ医療機関を受診してください。苦しさが強いときは救急車を呼んでください。刺すときの一時的な痛みや、小さな内出血が出ることもあります。」

自院サイトで五十肩を扱うときの、リスクの低い書き方・避けたい書き方

以下は「この書き方なら適法」と保証するものではなく、相対的にリスクが低い/高い書き方の整理です。実際の記載は最新のガイドライン本文と、所管保健所の指導をご確認ください。

リスクの低い書き方

  • 「五十肩の鍼については、国際的なレビューが『判断できない』としています。当院は運動療法との併用を前提に、痛みの軽減を目標にご相談を伺います」(出典と限界を同じ場所に置き、そのまま貼れる長さ)
  • 「肩の動きの制限には、腱板の損傷や糖尿病などに伴うものもあります。整形外科での評価を受けたうえでのご来院をおすすめしています」(受診をすすめる文を先に置く)
  • 「肩まわりへの刺鍼は、学会の安全対策ガイドラインに沿って、体格に合わせた深さと角度で行っています」(安全「です」ではなく、何に沿っているかを書く。実際にそうしている場合にのみ使える文)

避けたい書き方

  • 避けたい:「五十肩が治る」「固まった肩が鍼で動くようになります」(効果の断定。日本の症例報告も「拘縮は鍼単独では困難」と書いている)
  • 避けたい:「注射や薬より鍼のほうが効きます」(神経ブロックと比べた試験では電気鍼だけの群が劣っており、痛みの尺度では薬などに勝っていないネットワーク解析がある)
  • 避けたい:「鍼は副作用がなく安全です」(気胸は毎年報告されており、学会ガイドラインは胸郭周囲の刺鍼を義務表現で注意している)
  • 避けたい:「5回で腕が上がるようになりました(50代・女性)」(施術の効果を示す体験談。客観的に証明できない内容にあたり、効果を保証していると受け取られやすい)

施術所のウェブサイトは、あはき師法・柔整師法の広告規制については原則として対象外とされています。ただし医療法・薬機法・景品表示法などの他の法令は及びます。

この記事で書かなかったこと・書けなかったこと

正直コーナーです。理由つきで開示します。

  1. 台湾の偽鍼対照試験の偽電気鍼の型、ドイツの試験の追跡部分、中国の指針の鍼の推奨の強さは本文を取得できておらず、数値を載せていません。日本肩関節学会の用語提言と、同学会が引く海外の定義も、抄録までの確認です。
  2. 総有効率で比べた統合値、ネットワークメタ解析の順位、非無作為化研究を含む統合値、ばらつきが極端に大きい統合値は使っていません。
  3. 薬鍼・小針刀・鋒鉤鍼の試験は、日本の鍼灸師の毫鍼とは別の手技なので、鍼の数値として扱っていません。
  4. 選穴・手技・刺鍼の深さの処方は書いていません。試験で用いられた経穴や深さの紹介は施術の指示ではありません。
  5. 「安全」「副作用なし」とは書いていません。気胸は国内で毎年報告されています。
  6. 医中誌Web・CiNii・CENTRAL・中国語データベースは未検索で、国外からアクセスできない海外の診療情報サービスも確認しておらず、「見つからなかった」はこの範囲の話です。確認していない文書について「鍼に触れていない」とは書いていません。
  7. 「この所見なら受診」というサインの一覧は置いていません。五十肩について、そう線を引ける一次資料を項目ごとに対応させられず、裏づけの無い一覧は「当てはまらない=安全」と読まれるためです。代わりに、二次性かどうかの判断は医療機関の役割であること、施術後の胸痛・息苦しさは速やかに受診させることを本文に置いています。

FAQ|五十肩の鍼について、鍼灸師によくある質問

Q. 肩こりと五十肩は、施術の考え方も分けるべきですか?
A. 分けてください。研究も別に組まれており、肩こりの日本の試験の結果を五十肩に当てはめることはできません。肩こりの根拠は肩こりに鍼は効くのか|日本の試験でわかったことと限界にあります。

Q. 何回くらい受ければよいか、根拠のある目安はありますか?
A. 回数を無作為に比べた試験は見つかりませんでした。試験の設計は週2〜3回を4〜9週、合計10〜18回が多く、これは効く回数でも推奨回数でもありません。現場では「何回で見直すか」を最初に決めて共有する運用をおすすめします。

Q. 注射やブロックと比べてどうですか?
A. 神経ブロックと比べた150名の試験では、電気鍼だけの群はブロックだけの群に劣っていました。ステロイド注射と直接比べた試験は PubMed 収載のものでは見つかりませんでした。「注射より鍼」と説明する材料はありません。

Q. 五十肩は療養費(保険)の対象になりますか?
A. 五十肩は、鍼灸の療養費の支給対象として通知に挙げられている6疾患(神経痛・リウマチ・頸腕症候群・五十肩・腰痛症・頸椎捻挫後遺症)のひとつで、保険医の同意書が必要です。同意書の病名欄の表記も「五十肩」です(「肩関節周囲炎」「凍結肩」ではありません)。また、同意する疾病について医療機関で処置や投薬などの治療を受けている間は、治療が優先され療養費の支給は受けられません。ただし、この回答は厚生労働省が公開しているリーフレット(令和7年4月版)を当サイトが整理した二次情報で、通知そのものの番号や本文は当サイトでは扱っていません。支給の可否や算定の取扱いを判断するのは保険者および所管の地方厚生局であり、この回答は法的・行政的な助言ではありません。個別の取扱いは、最新の通知本文と、患者さんが加入している保険者・所管の地方厚生局へご確認ください。手続きの全体は鍼灸の療養費(保険)完全ガイド|6疾患・同意書・受領委任の実務【鍼灸師向け】にまとめています。

まとめ|五十肩の鍼について、言えること・言えないこと

  • コクランの結論は3文で、「ほとんど何も結論できない/支持も否定も根拠が乏しいが短期の利益はあるかもしれない/さらに試験が必要」。五十肩は2試験だけで向きが逆です
  • 偽鍼と比べた試験は21名と60名の2本で、偽鍼に勝った大規模な試験はありません。21名の試験は機能に差が認められず、痛みの低下の早さと可動域では本物の群が良かった
  • 無治療と比べた70名の試験では電気鍼+運動の群が改善し(干渉波+運動との差は認められず)、運動と比べた35名の試験では鍼を足した群が改善率で良い結果でした。いずれも小さな非盲検の試験です。35名の試験の鍼は肩ではなく反対側の下腿に刺し、鍼群だけ追加の運動をしていました
  • 神経ブロックと比べた試験では電気鍼だけの群が劣り、痛みの尺度では鍼関連療法が薬などに勝っていないネットワーク解析もあります
  • 学会の扱いは「効果不明」(英国2015年)か「推奨項目に無い」(米国2013年・韓国2025年)、中国の伝統医学の指針は鍼を含む弱い推奨か合意で、日本には五十肩の診療ガイドライン自体が見つかりませんでした。自然経過は「無治療で94%が可動域を回復(完全無痛は51%)」と「数年後に41%に症状が残った」の両論です
  • 日本の症例報告が「拘縮は鍼単独では困難」と書き、肩まわりの刺鍼は学会ガイドラインが義務表現で注意しています。施術後の胸痛・息苦しさは速やかに受診、強い呼吸困難は救急搬送です

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更新履歴:本記事は初版です。コクランレビュー CD005319 の新しい版が出た場合、英国 BESS の患者ケアパスウェイ・米国 JOSPT の診療ガイドラインが改訂された場合、日本の学会が五十肩(凍結肩)の診療ガイドラインを公表した場合、鍼灸安全対策ガイドラインが改訂された場合、療養費の通知が改正された場合に追記・修正します。

引用について:本記事の引用は著作権法32条にもとづく引用です。英文の日本語訳はすべて当サイトによるもので、他者の公式訳は用いていません。文の途中を省いた引用には省略記号を付け、省いた内容が結論の向きに関わる場合はその内容を同じ箇所に書いています。鍼灸安全対策ガイドラインは無償公開PDFの該当ページを目視で転記したもので、逐語で引いたのは気胸の項の冒頭段落と注意事項1の2か所のみ、他は言い換えで紹介しています。日本語の文献は、本文を読めていないものについて逐語引用をしていません。

参考文献

  1. Green S, Buchbinder R, Hetrick S. Acupuncture for shoulder pain. Cochrane Database Syst Rev. 2005;(2):CD005319. PMID: 15846753. DOI: 10.1002/14651858.CD005319 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12130916/
  2. Green S, Buchbinder R, Glazier R, Forbes A. WITHDRAWN: Interventions for shoulder pain. Cochrane Database Syst Rev. 2007;2006(4):CD001156.pub2. PMID: 17636656 ※撤回された別レビュー。取り違え防止のため掲載
  3. Ben-Arie E, Kao PY, Lee YC, Ho WC, Chou LW, Liu HP. The Effectiveness of Acupuncture in the Treatment of Frozen Shoulder: A Systematic Review and Meta-Analysis. Evid Based Complement Alternat Med. 2020;2020:9790470. PMID: 33062030. DOI: 10.1155/2020/9790470
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  5. Xu B, Zhang L, Zhao X, Feng S, Li J, Xu Y. Efficacy of Combining Acupuncture and Physical Therapy for the Management of Patients With Frozen Shoulder: A Systematic Review and Meta-Analysis. Pain Manag Nurs. 2024;25(6):596-605. PMID: 38991907. DOI: 10.1016/j.pmn.2024.06.009 ※非RCTを含む統合。統合値は本文に不使用
  6. Ji R, Huang W, Weng M, Zhang M. Comparative effectiveness of acupuncture-related therapies for frozen shoulder: a systematic review and network meta-analysis. Front Med (Lausanne). 2025;12:1673193. PMID: 41384127. DOI: 10.3389/fmed.2025.1673193 ※順位・有効率は不使用
  7. Yang C, Lv T, Yu T, Wong S, Lu M, Li Y. Acupuncture at Tiaokou (ST38) for Shoulder Adhesive Capsulitis: What Strengths Does It Have? A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Evid Based Complement Alternat Med. 2018;2018:4197659. PMID: 29849707. DOI: 10.1155/2018/4197659 ※存在のみ。数値・結論は不使用
  8. Trinh K, Belski N, Kuhad A, Gibson C. The Efficacy of Acupuncture on Shoulder for Pain Intensity, Functional Status, and General Quality of Life in Adults: A Systematic Review. Med Acupunct. 2026;38(3):200-210. PMID: 42136993. DOI: 10.1177/19336586251399629
  9. Maund E, Craig D, Suekarran S, ほか. Management of frozen shoulder: a systematic review and cost-effectiveness analysis. Health Technol Assess. 2012;16(11):1-264. PMID: 22405512. DOI: 10.3310/hta16110 ※抄録までの確認
  10. Favejee MM, Huisstede BM, Koes BW. Frozen shoulder: the effectiveness of conservative and surgical interventions–systematic review. Br J Sports Med. 2011;45(1):49-56. PMID: 20647296. DOI: 10.1136/bjsm.2010.071431
  11. Luo Z, Gang W, Hu X, ほか. [Evidence gap between the systematic reviews and clinical concerns in acupuncture and moxibustion for frozen shoulder]. Zhongguo Zhen Jiu. 2025;45(11):1673-1680. PMID: 41261556 ※英文抄録までの確認
  12. Sun KO, Chan KC, Lo SL, Fong DY. Acupuncture for frozen shoulder. Hong Kong Med J. 2001;7(4):381-391. PMID: 11773673
  13. Lo MY, Wu CH, Luh JJ, ほか. The effect of electroacupuncture merged with rehabilitation for frozen shoulder syndrome: A single-blind randomized sham-acupuncture controlled study. J Formos Med Assoc. 2020;119(1 Pt 1):81-88. PMID: 31097283. DOI: 10.1016/j.jfma.2019.03.012 ※抄録までの確認(偽電気鍼の型は未確認)
  14. Cheing GL, So EM, Chao CY. Effectiveness of electroacupuncture and interferential eloctrotherapy in the management of frozen shoulder. J Rehabil Med. 2008;40(3):166-170. PMID: 18292916. DOI: 10.2340/16501977-0142
  15. Schröder S, Meyer-Hamme G, Friedemann T, ほか. Immediate Pain Relief in Adhesive Capsulitis by Acupuncture-A Randomized Controlled Double-Blinded Study. Pain Med. 2017;18(11):2235-2247. PMID: 28371868. DOI: 10.1093/pm/pnx052 ※抄録までの確認。追跡部分の数値は不使用
  16. Lin ML, Huang CT, Lin JG, Tsai SK. [A comparison between the pain relief effect of electroacupuncture, regional never block and electroacupuncture plus regional never block in frozen shoulder]. Acta Anaesthesiol Sin. 1994;32(4):237-242. PMID: 7894919
  17. Chandran KP, Chandran PP, Arumugam N, Muthappan S. Effect of Remote and Local Acupuncture Points on Periarthritis of Shoulder: A Comparative Study. J Acupunct Meridian Stud. 2021;14(1):13-20. PMID: 35770597. DOI: 10.51507/j.jams.2021.14.1.13 ※回数の記述のみ使用
  18. Liu C, Zhuang S, Shang Y, Miao X, Wang H, Yan B. Efficacy and safety of 2 Hz versus 100 Hz electroacupuncture for pain-dominant shoulder periarthritis: a study protocol for a single-center randomized controlled trial. Front Med (Lausanne). 2026;13:1924469. PMID: 42724061. DOI: 10.3389/fmed.2026.1924469 ※プロトコル
  19. Rangan A, Goodchild L, Gibson J, ほか. Frozen Shoulder. Shoulder Elbow. 2015;7(4):299-307. PMID: 27582992. DOI: 10.1177/1758573215601779
  20. Rupani N, Gwilym SE; BESS Frozen Shoulder Working Group. British Elbow and Shoulder Society patient care pathway: Frozen shoulder. Shoulder Elbow. 2025;17(4):351-363. PMID: 40291049. DOI: 10.1177/17585732251335955
  21. Kelley MJ, Shaffer MA, Kuhn JE, ほか. Shoulder pain and mobility deficits: adhesive capsulitis. J Orthop Sports Phys Ther. 2013;43(5):A1-A31. PMID: 23636125. DOI: 10.2519/jospt.2013.0302
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  28. Vastamäki H, Kettunen J, Vastamäki M. The natural history of idiopathic frozen shoulder: a 2- to 27-year followup study. Clin Orthop Relat Res. 2012;470(4):1133-1143. PMID: 22090356. DOI: 10.1007/s11999-011-2176-4
  29. Shaffer B, Tibone JE, Kerlan RK. Frozen shoulder. A long-term follow-up. J Bone Joint Surg Am. 1992;74(5):738-746. PMID: 1624489
  30. Wong CK, Levine WN, Deo K, ほか. Natural history of frozen shoulder: fact or fiction? A systematic review. Physiotherapy. 2017;103(1):40-47. PMID: 27641499. DOI: 10.1016/j.physio.2016.05.009
  31. Diercks RL, Stevens M. Gentle thawing of the frozen shoulder: a prospective study of supervised neglect versus intensive physical therapy in seventy-seven patients with frozen shoulder syndrome followed up for two years. J Shoulder Elbow Surg. 2004;13(5):499-502. PMID: 15383804. DOI: 10.1016/j.jse.2004.03.002
  32. Martin SD, Dean MC, Eberlin CT, ほか. AAOS 2024 best paper in the shoulder and elbow classification: watchful waiting provides higher value with similar functional outcomes to physical therapy for frozen shoulder: a prospective randomized controlled trial. J Shoulder Elbow Surg. 2025;34(6):e455-e467. PMID: 39537016. DOI: 10.1016/j.jse.2024.09.017 ※本文に不使用(96%が注射を受けた試験)
  33. 浜田純一郎, 高瀬勝巳, 藤井康成, ほか(日本肩関節学会学術委員会). 拘縮肩と凍結肩の定義と適正な学術用語. 肩関節. 2021;45(1):122-126. DOI: 10.11296/katakansetsu.45.122 ※抄録までの確認
  34. 日本整形外科学会「五十肩(肩関節周囲炎)」症状・病気をしらべる https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/frozen_shoulder.html ※言い換えで紹介
  35. 日本整形外科学会「整形外科シリーズ5 五十肩(肩関節周囲炎)」2009年12月作成 https://www.joa.or.jp/public/publication/pdf/joa_005.pdf ※PDFのページ画像を目視。言い換えで紹介
  36. 堀紀子, 山下仁, 津嘉山洋, 坂井友実, 西條一止. 五十肩に対する鍼治療の効果. 全日本鍼灸学会雑誌. 1996;46(4):340-344. DOI: 10.3777/jjsam.46.4_340
  37. 宮山忠彦, 安野富美子, 封木麻里, ほか. 五十肩に対する鍼灸治療の2症例. 全日本鍼灸学会雑誌. 2001;51(5):617-622. DOI: 10.3777/jjsam.51.617
  38. 鈴木博, 徳竹忠司, 緒方昭広. 肩関節周囲炎に対する鍼治療と手技療法を併用した1症例. 日本東洋医学系物理療法学会誌. 2020;45(2):57-62. DOI: 10.32255/jjsop.45.2_57
  39. 山口智. 肩関節周囲炎に対する鍼通電療法. 日本東洋医学系物理療法学会誌. 2022;46(2):23-26. DOI: 10.32255/jjsop.46.2_23
  40. 坂本歩(監修), 公益社団法人全日本鍼灸学会 臨床情報部 安全性委員会(編). 鍼灸安全対策ガイドライン2025年版(改訂第2版). 東京: 医歯薬出版; 2025. https://safety.jsam.jp/img/file.pdf ※p.7・p.13〜15・p.34〜37・奥付を目視。逐語は冒頭段落と注意事項1のみ
  41. 菅原正秋, 山崎寿也. 鍼灸安全対策ガイドライン2025年版(改訂第2版)の主な改訂のポイント. 全日本鍼灸学会雑誌. 2025;75(4):416-421. DOI: 10.3777/jjsam.75.416
  42. 古東司朗, 中本和夫. 鍼治療により発生した気胸. 全日本鍼灸学会雑誌. 1994;44(3):233-237. DOI: 10.3777/jjsam.44.233
  43. 恒松美香子, 池宗佐知子, 菅原正秋. 鍼灸師養成学校における気胸事故予防教育についての現状調査. 日本東洋医学系物理療法学会誌. 2025;50(2):189-196. DOI: 10.32255/jjsop.50.2_189
  44. Chiu WS, Lu YW, Lien TH. Iatrogenic Pneumothorax during Acupuncture: Case Report. Medicina (Kaunas). 2023;59(6):1100. PMID: 37374304. DOI: 10.3390/medicina59061100 ※当サイトの文献在庫 L234(書誌は編集長が PubMed esummary で補記・2026-09-12)
  45. 厚生労働省「保険医療機関及び保険医の皆様へ はり、きゅう及びあん摩マッサージ指圧の同意書の取扱いを改めてお知らせします」令和7年4月版 https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/250401_01.pdf ※二次情報として整理。通知番号は記載していません

本記事は鍼灸師向けの学術情報の提供を目的としたものであり、特定の治療効果を保証するものではありません。効果には個人差があります。鍼灸師は疾病の診断を行う立場にはありません。五十肩(肩関節周囲炎)の型の判断や併存疾患の評価は医療機関の役割です。個別の患者への対応にあたっては、受診を優先すべきサインがないかを確認し、必要に応じて医療機関の受診をおすすめしてください。

【AI作成・編集責任について】本記事はAI(人工知能)が作成し、株式会社addwisteria の加藤タカシが編集責任者として内容を確認しています。引用した論文・ガイドラインの数値や推奨は改訂により変わることがあるため、実際の臨床判断では各原典の最新版をご確認ください。

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