膝OAに鍼は効く?ACR推奨とNICE非推奨が分かれる理由【論文解説】

膝OAに鍼は効くか|ACR推奨とNICE非推奨が分かれる理由 変形性膝関節症

「膝の痛み、鍼で楽になりますか?」

変形性膝関節症(膝OA:膝の軟骨がすり減り痛みや動かしにくさが出る状態)の患者さんに、こう聞かれたことはありませんか。「効きますよ」と言い切るのは怖い。でも歯切れが悪いと、患者さんは不安になりますよね。

この記事を読むと、主要な論文とガイドラインをふまえた「正直で、信頼される答え方」がわかります。

【結論】膝OAへの鍼、エビデンスの現在地

結論

  • 膝OAへの鍼は、米国のガイドライン(ACR2019)で「条件付き推奨(弱い推奨)」とされています。
  • 一方、英国のガイドライン(NICE2022)は「提供しないこと」と非推奨。評価は割れています。
  • 理由は「何と比べるか」。無治療と比べれば改善は大きいのに、偽鍼と比べると差は小さくなるからです。

肯定側の中心:ACR2019はなぜ「条件付き推奨」なのか

まず心強い話から。米国リウマチ学会(ACR:アメリカのリウマチ医の学会)は2019年のガイドラインで、膝OAへの鍼を「条件付き推奨」としました。

条件付き推奨とは「弱い推奨」のこと。「強く勧める」ではありませんが、選択肢として認められた意味は大きいですよね。

ただしここが誠実さのポイント。ACR自身が「鍼の有効性には議論(controversy)がある」と明記しています。盲検化のむずかしさや偽鍼対照の妥当性、効果量の不確実さを認めた上での推奨なのです。

面白いのは、その但し書きの中でACRが「陽性の試験が最も多く、効果量が最も大きいのは膝OA」と述べている点。つまり「効果は不確実。でも害は小さい。だから弱く勧める」という論理構造です。

エビデンスボックス① 出典と研究の詳細(飛ばして読んでもOK)
  • 書誌: Kolasinski SL, Neogi T, Hochberg MC, et al. 2019 American College of Rheumatology/Arthritis Foundation Guideline for the Management of Osteoarthritis of the Hand, Hip, and Knee. Arthritis Rheumatol. 2020;72(2):220-233. PMID:31908149 / DOI:10.1002/art.41142
  • デザイン: 診療ガイドライン(系統的レビューに基づく)
  • 立場: 手・股・膝OAへの鍼を「条件付き推奨(弱い推奨)」。
  • 但し書き: 鍼の有効性には議論があり、盲検化・偽鍼対照・サンプルサイズ・効果量・事前期待の問題があると明記。一方で陽性試験が最も多く効果量が大きいのは膝OAとし、真の効果量は不明確だが害のリスクは小さいとする。

いちばん大事な話:比較相手で結論が反転する(Cochrane)

同じ鍼でも「無治療と比較」なら効果は大、「偽鍼と比較」なら小さく臨床閾値未満、という対比。数値はCochrane CD001977。

Cochrane

比べる相手で結論が反転する

同じデータでも、比べる相手で効果量が大きく変わります

無治療・待機と比較
短期 痛みSMD −0.96(4試験/884名)

効果量「大」

目安0.8以上で「大」。ただし不完全な盲検によるプラセボ・文脈効果の寄与が大きいと解釈されています。

偽鍼と比較
8週 痛みSMD −0.28(9試験/1,835名)

臨床閾値0.39未満

統計的に有意でも事前設定の臨床閾値を下回ります。26週では痛みSMD −0.10でほぼ消失。

模式図です。SMDは効果量の目安指標で、0.2小・0.5中・0.8大。待機比較はプラセボ・文脈効果を排除できず、偽鍼の盲検も不完全です。有意差の有無は「差がないことの証明」ではありません。数値はCochrane CD001977(PMID:20091527)。

ここが記事の背骨です。膝OAの鍼を最もていねいに整理したのが、Manheimerらのコクランレビュー(複数の研究を厳密にまとめた分析)です。

このレビューが示したのは、シンプルだけど重要な事実。比べる相手を変えると、結論がひっくり返るのです。

無治療で待っていた人(待機群)と比べると、鍼の効果は「大きい」と報告されました。ところが偽鍼(わざと効かないように打つ比較用の鍼)と比べると、効果は「小さく」なります。しかも臨床的に意味があるとされる基準を下回りました。

なぜ偽鍼だと差が縮むのでしょう。偽鍼も皮膚に触れ、浅くとも刺激が加わります。その刺激自体がある程度効いてしまうため、本物との「差」が出にくくなる可能性が指摘されています。

さらに26週後の長期でみると、偽鍼との差はほぼ消えていました。「無治療比較は大、偽鍼比較は小」。この二重性が、後で出てくるガイドラインの対立の正体です。

なお効果量はSMDというものさしで表されます。目安は0.2で小さい、0.5で中くらい、0.8で大きい。待機比較の−0.96は「大」、偽鍼比較の−0.28は「小」と読めます。

エビデンスボックス② 出典と研究の詳細(飛ばして読んでもOK)
  • 書誌: Manheimer E, Cheng K, Linde K, et al. Acupuncture for peripheral joint osteoarthritis. Cochrane Database Syst Rev. 2010;(1):CD001977. PMID:20091527 / DOI:10.1002/14651858.CD001977.pub2
  • デザイン: コクラン・システマティックレビュー/メタ解析(エビデンスレベル1)。16RCT・3,498名(膝OA12件・股OA3件・混合1件)。
  • 偽鍼対照・8週: 痛みSMD −0.28(95%CI −0.45〜−0.11、9試験/1,835名)、機能SMD −0.28。統計的有意だが事前設定の臨床的閾値(痛み0.39・機能0.37)を下回る。GRADE低。
  • 偽鍼対照・26週: 痛みSMD −0.10(−0.21〜0.01)、機能SMD −0.11=臨床的に有意でない。GRADE高。
  • 待機リスト対照・短期: 痛みSMD −0.96(−1.19〜−0.72、4試験/884名)、機能SMD −0.89=大きいが、不完全な盲検によるプラセボ効果の寄与が大きいと解釈。
  • 限界: 偽鍼の盲検が不完全、待機比較は文脈効果を排除できない、古い試験が中心。

慢性痛全体をみた大規模研究も、この構図と矛盾しません。約2万人のデータを統合したVickersらのメタ解析(膝OAを含む)では、無治療・通常ケアに明確に優位、偽鍼に対しても小さいながら有意な差が報告されています。

エビデンスボックス③ 出典と研究の詳細(飛ばして読んでもOK)
  • 書誌: Vickers AJ, Vertosick EA, Lewith G, et al. Acupuncture for Chronic Pain: Update of an Individual Patient Data Meta-Analysis. J Pain. 2018;19(5):455-474.
  • デザイン: 個別患者データ(IPD)メタ解析(レベル1)。慢性疼痛(腰頸部痛・肩痛・変形性膝関節症・頭痛)約39試験、n=20,000超。
  • 結果: 無治療・通常ケアに明確に優位。偽鍼に対しても小さいが有意。効果は12か月後もおおむね持続。
  • 限界: 偽鍼との差は小さく、治療体験全体による文脈効果の寄与も大きい。

主要RCTを正直に:肯定寄り・否定寄りが両方そろう

主要RCT5本を「肯定寄り/否定寄り」で整理。Berman・Witt・Tuは肯定寄り、GERAC・Hinmanは否定寄り。各試験のn数付き。

主要RCT

肯定寄り⇔否定寄りが併存する

代表的な5本を、盛らずに並べて配置しました

Berman 2004
n=570/通常ケアへの上乗せ

肯定寄り

26週で機能・痛みが偽鍼に優位(8週の痛みは有意差なし)。鍼単独の効果ではありません。

Witt 2005
n=294

肯定寄り

待機比較では明確に有効。ただし偽鍼との差は時間とともに縮小しました。

GERAC/Scharf 2006
n=1,007

否定寄り

本鍼と偽鍼で有効率に差なし。ただし両鍼群とも保存療法には優越しました。

Hinman 2014
n=282

否定寄り

偽鍼に勝てず、無治療比較のわずかな改善も1年後には消失しました。

Tu 2021
n=442/週3回×8週

肯定寄り

電気鍼が偽鍼にレスポンダー率で約13ポイント優越(高頻度が前提)。

模式図です。「肯定寄り/否定寄り」は編集上の整理で、優劣の断定ではありません。Bermanは通常ケアへの上乗せデザインで鍼単独の効果ではありません。有意差なし=差がないことの証明ではありません。

膝OAは鍼のRCT(ランダム化比較試験)が豊富な領域です。ただ、肯定寄りと否定寄りが両方そろっています。代表的な4本を、盛らずに並べてみましょう。

Berman 2004(肯定寄り)。 570人の大規模試験です。ただしこれは通常ケアへの「上乗せ」デザイン。鍼を足したら偽鍼群より機能が改善しましたが、8週時点の痛みでは差がつきませんでした。「鍼単独の効果」ではない点に注意です。

GERAC/Scharf 2006(否定寄り)。 約1,000人の3群比較。本物の鍼と偽鍼で有効率に差はありませんでした。ただし、その両方とも通常の保存療法には勝っています。二重性を1本で象徴する試験ですね。

Witt 2005(肯定寄り)。 待機群と比べれば鍼は明確に有効でした。ただし偽鍼との差は、時間とともに縮んでいきました。

Hinman 2014(否定寄り)。 JAMA掲載の影響力の大きい試験です。鍼は偽鍼に勝てず、無治療比較でのわずかな改善も1年後には消えていました。

エビデンスボックス④ 主要RCT4本の詳細(飛ばして読んでもOK)
  • Berman BM, et al. Ann Intern Med. 2004;141(12):901-910. PMID:15611487 / n=570、本鍼/偽鍼/患者教育の3群、通常ケアへの上乗せ(adjunctive)デザイン、鍼群は26週で計23回。26週で機能P=0.01・痛みP=0.003で本鍼が偽鍼に優位、8週の痛みは有意差なし(P=0.18)。
  • Scharf HP, et al.(GERAC)Ann Intern Med. 2006;145(1):12-20. PMID:16818924 / n=1,007、伝統鍼/偽鍼(非経穴浅刺)/保存療法。レスポンダー率 伝統鍼53.1%・偽鍼51.0%・保存療法29.1%。本鍼vs偽鍼は有意差なし、両鍼群は保存療法に優越。
  • Witt C, et al. Lancet. 2005;366(9480):136-143. PMID:16005336 / n=294、本鍼/ミニマル鍼/待機、8週12回。8週で本鍼が他2群より痛み・機能改善、ただし偽鍼との差は時間で縮小。
  • Hinman RS, et al. JAMA. 2014;312(13):1313-1322. PMID:25268438 / n=282、無治療/針鍼/レーザー鍼/偽レーザー、12週介入・1年追跡。鍼は偽鍼に有意差なし。無治療比較では12週でわずかな改善だが1年後に消失。重篤有害事象なし。

近年のTu2021:偽鍼に「わずかに」勝った、ただし高頻度が前提

Tu2021の「13ポイント」は複合レスポンダー率(MCID達成者の割合)の差であり、WOMAC点数の差ではない。週3回×8週の高頻度が前提。

Tu 2021

「13ポイント」の正しい読み方

この数字はWOMAC点数ではなく、達成率の差です

複合レスポンダー率
週3回×8週=計24回が前提

EA 60.3%(91/151)/MA 58.6%(85/145)/SA 47.3%(69/146)

電気鍼(EA) vs 偽鍼(SA)
差13.0ポイント(97.5%CI 0.2〜25.9、P=0.0234)

有意

MCIDを達成した人の割合の差です。

手技鍼(MA) vs 偽鍼(SA)
差11.3ポイント(P=0.0507)

非有意

統計的な有意差には届きませんでした。

模式図です。「13ポイント」はMCID(最小臨床的重要改善)を達成した人の割合の差であり、WOMACが13点改善した意味ではありません。陽性は週3回×8週という高頻度が前提で、週1回で同等とは言えません。

「じゃあ最近の研究はどうなの?」という声に応えるのがTu 2021です。中国の442人を対象に、電気鍼(鍼に微弱電流を流す方法)・手技鍼・偽鍼を比べました。

結果、電気鍼は偽鍼より「やや良かった」と報告されています。ただし2つ、正確に押さえてほしい点があります。

1つは勝ち方の中身。差が出たのは「WOMACの点数」ではなく、改善目標を達成した人の割合(複合レスポンダー=痛みと機能の両方で意味ある改善に届いた人)でした。数値の解剖は下のボックスに譲ります。

もう1つは頻度。この試験は週3回を8週間、計24回という高頻度でした。実臨床の週1回とは強度が違うため、「Tuで効いた=週1回でも同じ」とは言えません。頻度・回数の実務的な組み立ては膝OAへの鍼|施術の実際と進め方で解説します。

エビデンスボックス⑤ Tu 2021の詳細(飛ばして読んでもOK)
  • 書誌: Tu JF, Yang JW, Shi GX, et al. Efficacy of Intensive Acupuncture Versus Sham Acupuncture in Knee Osteoarthritis: A Randomized Controlled Trial. Arthritis Rheumatol. 2021;73(3):448-458. PMID:33174383 / DOI:10.1002/art.41584
  • デザイン: RCT(レベル2)。n=442、中国多施設、電気鍼(EA)/手技鍼(MA)/偽鍼(SA)の3群。週3回×8週=計24回の高頻度、追跡26週。
  • 主要評価項目: 8週時点で痛みと機能の双方が最小臨床的重要改善(MCID)を達成した人の割合=複合レスポンダー率。
  • 結果: レスポンダー率 EA 60.3%(91/151)・MA 58.6%(85/145)・SA 47.3%(69/146)。EA vs SA=差13.0ポイント(97.5%CI 0.2〜25.9、P=0.0234)で有意。MA vs SA=差11.3ポイント(P=0.0507)で非有意。
  • 読み方の注意: 「13ポイント」はMCID達成者の割合の差であり、WOMACが13点改善した意味ではない。陽性は週3回×8週という高頻度が前提。

否定側の中心:英国NICEはなぜ「提供しない」のか

ここから逃げずに書きます。英国のNICE(国立医療技術評価機構)は2022年のガイドライン(NG226)で、変形性関節症への鍼を「提供しないこと」と明記しました。明確な非推奨です。

根拠は3つ。①偽鍼に対する明確な上乗せ効果が乏しいこと。②一部に害のエビデンスがあること。③そして費用対効果が悪いという判断です。

同じデータを見ても、なぜACRと結論が割れるのか。答えは「重視するポイントの違い」です。ACRは実臨床での選択肢の幅を重視し、NICEは偽鍼対照と公的医療費の効率を重視します。

だから「鍼は効く/効かない」の単純な話ではありません。「何と比べ、何を大事にするか」で評価が分かれている、というのが現在地です。

エビデンスボックス⑥ NICE NG226の詳細(飛ばして読んでもOK)
  • 書誌: NICE. Osteoarthritis in over 16s: diagnosis and management (NG226). Published 19 October 2022. https://www.nice.org.uk/guidance/ng226
  • 立場: 変形性関節症の管理に「鍼またはドライニードリングを提供しないこと(Do not offer)」=非推奨。
  • 主な根拠: 臨床的ベネフィットの乏しさ、一部に害のエビデンス、費用対効果が良くない(not cost effective)こと。
  • 補足: この解釈をめぐっては鍼団体・学術側からの反論もある。

日本のガイドラインはどう扱っている?

国内の状況も正直にお伝えします。日本整形外科学会の変形性膝関節症診療ガイドライン2023では、運動療法・患者教育・体重管理が明確に推奨されています。

一方で鍼については、独立した臨床疑問(CQ)として推奨度が示されていません(公開要約の時点)。「日本のガイドラインで鍼が推奨されている」とは書けない、というのが誠実な整理です。

注記
日本整形外科学会 変形性膝関節症診療ガイドライン2023について、本記事はMinds公開要約のCQ一覧を確認した範囲での記述です。要約には鍼を主題とする独立CQが見当たらないため「推奨度が付されていない」と表現しています。書籍版全文の逐語(CQ番号・推奨文・グレード)は未確認のため、断定は避けています。

鍼の安全性は?膝まわりで気をつけること

「鍼に副作用はないんですか?」もよく受ける質問ですよね。ここも正直に。

コクランレビューでは、膝OA等の鍼RCTで重篤な有害事象の報告はありませんでした。軽い副作用(主に刺したところの内出血や出血)は試験により幅がありますが、対照群と同程度でした。

ただし注意点が2つ。1つは、そのレビューで安全性を報告していたのは16試験中8試験のみで、情報が限られていること。もう1つは、膝関節の周囲は血管・神経・関節腔に配慮が要る部位だということです。

「鍼の副作用で多いのは内出血やだるさで、たいていは数日でおさまります。重い事故はとても稀ですが、ゼロではありません。膝の周りは血管や神経に近いので、私は毎回消毒し、深さや角度に十分注意して施術しています。」

エビデンスボックス⑦ 安全性の出典(飛ばして読んでもOK)
  • Manheimer E, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2010;(1):CD001977. PMID:20091527 / 膝OA等の鍼RCTで重篤有害事象の報告なし。軽微副作用(刺入部の内出血・出血中心)は試験により0〜45%、有害事象0〜7%で対照と同程度。ただし安全性報告は8/16試験のみ。
  • White A, et al. BMJ. 2001;323(7311):485-486. PMID:11532840 / 約3.2万回、重篤0件(上限つき推定)。
  • MacPherson H, et al. BMJ. 2001;323(7311):486-487. PMID:11532841 / 約3.4万回、重篤0件。
  • Witt CM, et al. Forsch Komplementmed. 2009;16(2):91-97. PMID:19420954 / 23万人、気胸2件。
  • 福世泰史, ほか. 全日本鍼灸学会雑誌. 2025;75(4):442-462. doi:10.3777/jjsam.75.442 / 感染・臓器損傷・気胸・折鍼が国内外で現在も報告。
  • 注記: 「重篤ゼロ」は上限つきの推定であり、絶対に起きない意味ではありません(稀≠ゼロ)。

臨床で使える:患者説明トークとHPでの表現

患者への説明トーク例(口頭説明用)

パターンA(標準)
「膝の変形性関節症への鍼は、アメリカのリウマチ学会のガイドラインで、条件付きですが選択肢の一つに挙げられています。痛みの軽減を目的に、数回続けて様子を見ながら進めるのが一般的です。効果の感じ方には個人差があります。」

パターンB(評価が割れることに触れる誠実型)
「膝への鍼は、研究によって評価が分かれています。無治療と比べれば改善の報告が多い一方、偽物の鍼と比べると差は小さい、というのが正直なところです。◯回を目安に一緒に経過を見て、変化がなければ他の方法や整形外科の受診もご提案します。」

パターンC(回数を聞かれたとき)
「ある研究では週3回を8週間という頻度で、少し良い結果が出ています。ただ実際の通院でそこまでは大変なので、まずは無理のない頻度で始めて、効果を見ながら一緒に調整していきましょう。」

自院ホームページでの表現:リスクの低い書き方/避けたい書き方

以下は「この書き方なら適法」と保証するものではなく、相対的にリスクが低い/高い書き方の整理です。実際の記載は最新の「あはき・柔整広告ガイドライン」本文と、所管保健所の指導をご確認ください。

  • リスクが低い:「膝OAへの鍼は海外の診療ガイドラインで条件付きの選択肢とされています(出典明記)」/ 避けたい:「膝の痛みが治る鍼灸院」
  • リスクが低い:「痛みの軽減を目的とした施術を行います」/ 避けたい:「すり減った軟骨が再生します」
  • リスクが低い:「効果には個人差があります」/ 避けたい:「必ず改善します」

ポイントは4つ。①出典を明記する ②断定・保証をしない ③体験談で効果を保証しない ④ビフォーアフター写真での誇大表現を避ける。

FAQ:膝OAへの鍼でよくある質問

Q1. 週何回やればいいですか?
A. 明確な最適頻度は定まっていません。良い結果を出した近年の試験は週3回×8週と高頻度でした。実臨床では無理のない頻度で始め、期間を決めて効果を評価する形が現実的です。

Q2.「NICEが非推奨なら、やらない方がいいのでは?」と聞かれたら?
A. 隠さず認めた上で、評価が割れる理由(比較相手とものさしの違い)を説明しましょう。パターンBのように期限を決めて一緒に評価する姿勢が信頼につながります。

Q3. 鍼だけで膝OAを診ていいですか?
A. 単独完結より、運動療法などとの併用設計が現実的です。強い変形や急な腫れ・発熱など気になるサインがあれば、整形外科の受診を優先してください。

Q4. 電気鍼のほうが効きますか?
A. Tu 2021では電気鍼が偽鍼に有意差を示し、手技鍼は届きませんでした。ただし1試験の結果であり、「電気鍼が優れる」と断定はできません。

まとめ:膝OAと鍼のエビデンスを臨床でどう伝えるか

  • 膝OAへの鍼はACR2019で条件付き推奨、NICE2022は非推奨。評価は割れている
  • コクランでは無治療比較で効果は大きいが、偽鍼比較では小さく閾値を下回る(26週でほぼ消失)
  • 主要RCTは肯定寄り(Berman・Witt)と否定寄り(GERAC・Hinman)が併存
  • Tu2021は電気鍼が偽鍼にレスポンダー率で約13ポイント優越。ただし週3回×8週の高頻度が前提
  • 日本のJOA2023では鍼に独立した推奨度は示されていない(要約時点)
  • 臨床では「保証しない・出典を示す・期限を決めて一緒に評価する」説明が信頼を生む

関連記事

参考文献

  1. Kolasinski SL, Neogi T, Hochberg MC, et al. 2019 ACR/Arthritis Foundation Guideline for the Management of Osteoarthritis of the Hand, Hip, and Knee. Arthritis Rheumatol. 2020;72(2):220-233. PMID:31908149 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31908149/
  2. NICE. Osteoarthritis in over 16s: diagnosis and management (NG226). 2022. https://www.nice.org.uk/guidance/ng226
  3. Manheimer E, Cheng K, Linde K, et al. Acupuncture for peripheral joint osteoarthritis. Cochrane Database Syst Rev. 2010;(1):CD001977. PMID:20091527 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20091527/
  4. Vickers AJ, Vertosick EA, Lewith G, et al. Acupuncture for Chronic Pain: Update of an Individual Patient Data Meta-Analysis. J Pain. 2018;19(5):455-474. https://www.jpain.org/article/S1526-5900(17)30780-0/fulltext
  5. Berman BM, Lao L, Langenberg P, et al. Effectiveness of acupuncture as adjunctive therapy in osteoarthritis of the knee. Ann Intern Med. 2004;141(12):901-910. PMID:15611487 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15611487/
  6. Scharf HP, Mansmann U, Streitberger K, et al. Acupuncture and knee osteoarthritis: a three-armed randomized trial. Ann Intern Med. 2006;145(1):12-20. PMID:16818924 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16818924/
  7. Witt C, Brinkhaus B, Jena S, et al. Acupuncture in patients with osteoarthritis of the knee: a randomised trial. Lancet. 2005;366(9480):136-143. PMID:16005336 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16005336/
  8. Hinman RS, McCrory P, Pirotta M, et al. Acupuncture for chronic knee pain: a randomized clinical trial. JAMA. 2014;312(13):1313-1322. PMID:25268438 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25268438/
  9. Tu JF, Yang JW, Shi GX, et al. Efficacy of Intensive Acupuncture Versus Sham Acupuncture in Knee Osteoarthritis. Arthritis Rheumatol. 2021;73(3):448-458. PMID:33174383 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33174383/
  10. 日本整形外科学会 監修. 変形性膝関節症診療ガイドライン2023. 南江堂. https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00793/
  11. 福世泰史, ほか. 鍼灸安全性関連文献レビュー2020〜2023年. 全日本鍼灸学会雑誌. 2025;75(4):442-462. doi:10.3777/jjsam.75.442

本記事は鍼灸師向けの学術情報の提供を目的としたものであり、特定の治療効果を保証するものではありません。個別の患者への適応は、変形の程度や併存疾患の評価を含め、施術者の判断と必要に応じた医師への相談のもとで行ってください。

【AI作成・編集責任について】本記事はAI(人工知能)が作成し、株式会社addwisteria の加藤タカシが編集責任者として内容を確認しています。引用した論文・ガイドラインの数値や推奨は改訂により変わることがあるため、実際の臨床判断では各原典の最新版をご確認ください。

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